2013年04月13日
コンテンツ番号7564
4年後の遡上を願ってサケの稚魚5万匹放流
(2013.4.13)
伊勢堂岱遺跡世界遺産登録推進サケ放流事業「第3回カムバック・サーモン」が4月13日(土)、同遺跡近くを流れる湯車川で行われ、市民ら約30人が参加しサケの稚魚約5万匹を放流しました。
この放流事業は、伊勢堂岱遺跡の世界遺産登録推進の一環で行われたもので、サケの放流を通じて湯車川をサケが遡上する川として環境保護を図り、同遺跡周辺を「カムバック・サーモン」の中心地になるよう目指し、合わせて同遺跡の世界遺産登録推進に重要な周辺環境の保存を目的に行われました。主催は、市教育委員会、鷹巣漁業協同組合、同遺跡ワーキンググループ。
開会式では、主催者で同遺跡ワーキンググループの佐藤善寿代表が「サケは4年に1回帰ってくるという素晴らしい感性を持った動物であるが、若い人たちは外へ出て行ったきり帰ってこない。北秋田市自体の人口も30年後には半数の状況になってしまうため、若い人たちもサケに倣ってこの地に帰ってくることを願います」などとあいさつ。
同じく、主催者で鷹巣漁業協同組合の湊屋啓二組合長は「この事業を行って3年目になりますが、この事業が伊勢堂岱遺跡の世界遺産の登録につながるきっかけになってくれれば漁協としても大変嬉しい。サケの放流を通じて、地域の方々がこの湯車川を大事な川であると再認識し、「ゴミを捨てない」など子供たちへの教育にもつながっていけばありがたい。最近の縄文人についての研究で、土器の中から魚の油が出てきたといわれており、縄文人も主食としてこの湯車川で獲れたサケを食していたと思われます。何万年も前からこの地に戻ってきている魚を、地域の宝として大事にしながら守り育てていきたいと思います」などとあいさつ。
つづいて、市教育委員会の三澤仁教育長は「稚魚の放流は3年目になりましたが、戻ってくるのを毎年楽しみにしております。もう間もなく、この周辺も駐車場がガイダンス施設などが建設され、たくさんの方が伊勢堂岱遺跡に訪れると思う。市では平成27年度の世界遺産登録に向けて準備中であり、遠くからわざわざ訪れる方もいるが、一番大切なのは地元の方々がもっと関心を持ち、自信をもって伊勢堂岱遺跡を発信していく事だと思うので皆さんのご協力をお願いします」などと協力を呼びかけました。
今回放流したのは、2カ月半前にふ化した体長約4ほどの稚魚、約5万匹。大体4年をピークに、早いもので3年、遅くて5年で戻ってくるといわれています。
放流では、参加者がサケの稚魚の入ったバケツを持って川岸に並び、やさしく放流していました。放流されたサケの稚魚は、まだ冷たい湯車川を力強く泳ぎ回り、川の流れに乗って旅立っていきました。