2013年02月20日
コンテンツ番号7509
内陸線を活かした広域観光を考える
(2013.2.20)
秋田内陸線・奥羽北線広域観光フォーラムが2月20日(水)、阿仁ふるさと文化センターで開かれ、秋田内陸線を活かした広域観光について意見を交わしました。
フォーラムは、秋田県(観光文化スポーツ部・北秋田地域振興局・仙北地域振興局)、弘前市、大館市、仙北市、北秋田市、秋田内陸縦貫鉄道、東日本旅客鉄道秋田支社などで構成する秋田内陸線・奥羽北線沿線連絡協議会の主催。
開催にあたり、秋田内陸線・奥羽北線沿線連絡協議会会長の柴田榮則北秋田市商工観光課長が「この協議会は、平成23年11月に内陸線、奥羽北線の鷹巣から弘前までの沿線地域の活性化を図るため、協議会を立ち上げた。主な活動は、『秋田内陸線の旅』という観光情報誌を発行し、主に首都圏の駅に配置している。フォーラムは、この地域に観光客を呼び込む、そして地域の皆さんが観光客をおもてなしをするきっかけになればと開催した」などとあいさつしました。
フォーラムは第1部の調査事例報告と第2部のパネルディスカッションの2部構成で行われました。
調査事例報告では、公益財団法人 東北活性化研究センター調査研究部長の宮曽根隆氏と同センター主任研究員の野呂拓生氏が、「秋田内陸線と沿線地域の活性化に関する調査研究報告」を発表しました。研究報告では、2008年9月の存続合意、2010年2月の四者合意を挟み、地元の危機意識は減退し、輸送人員減として数字に表れたと指摘。そのうえで、地域と内陸線のコミュニケーション体制の構築のため、内陸線と地域の支援団体との間で、段階的に信頼関係を醸成し最終的には責任も持って内陸線と地域の進路を議論できる場(運営会議)の設置を目指すべきと提案しました。また、観光の視点として、角館経由の県外及び沿線・近隣客に、『里山の原風景』を訴求することや、PRビジュアル・アイデンティティー(イメージを統一して視覚的に強調する戦略)による宣伝戦略、また、物品販売の視点では、特色ある地域産品を使った物販によって収入増を図るため、山の芋や西明寺栗を例に、自社加工販売のオリジナル製品を拡充することなど、具体的な活性化策を提案しました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、秋田大学北秋田分校長の濱田純氏をコーディネーターに、特定非営利活動法人弘前こどもコミュニティ・ぴーぷる常任理事事務局長の八柳角弥氏、NPO秋田内陸沿線地域エコミュージアム会議代表理事の三浦陽一氏、NPO法人大館・小坂鉄道レールバイク理事長の小棚木政之氏、ふるさと阿仁観光案内人の会会長の戸嶋喬氏がパネラー、宮曽根氏、野呂氏、秋田内陸縦貫鉄道株式会社代表取締役社長の酒井一郎氏がコメンテーターを務め、「沿線観光の魅力と地域の取組」をテーマに討論が行われました。八柳氏は、弘南鉄道の沿線マップを地元の高校生と作製したことや市民参加による駅舎のリフォームなどの取り組みを紹介しながら、沿線のゆるキャラを描いたラッピング電車を走らせる案もあると話しました。
また、酒井氏は、内陸線の駅は首都圏の方々にはほとんど知られていない駅であるとして、「例えば、阿仁合駅『日本一銅山の駅』、笑内駅『根子集落入口』、小ケ田駅『伊勢堂岱遺跡駅』などのようにセカンドネームをつけることや、沿線の歴史をテーマにした切り口で、団塊の世代やシニア層の知的好奇心を刺激するような仕掛けをしていきたい」などと述べました。
最後に宮曽根氏は、新聞やテレビを使ったマスコミへの露出の必要性や、他地域との差別化を図るため『日本一、日本最古、日本最大』のものを見つけ掘り起こすことが重要であるとアドバイスしました。
参加者は、内陸線に観光客を呼び込む方策を一緒に考えようと、真剣な表情で聴き入っていました。