2014年11月14日
コンテンツ番号7448
今、地域の力が試される
生活困窮者自立支援法研修会が、11月14日(金)に文化会館で行われ、平成27年4月から施行される「生活困窮者自立支援法」について学び、講演や事例報告を聞きながら地域福祉のあり方を考えました。
この研修会は、北秋田市民生委員児童委員協議会が主催して行われたもので、生活困窮者といわれる経済的困窮者や、長期引きこもりなどの社会的孤立者を、生活保護に至る前に自立支援の対策を図る目的で制定される「生活困窮者自立支援法」について、制度の概要や地域としてできることを考える目的で開催されました。
はじめに、民生児童委員の活動姿勢などを表した「民生児童委員信条」を参加者全員で朗読。
つづいて、主催者の北秋田市民生委員児童委員協議会の柏木清一会長が「北秋田市では、150人の民生児童委員が地域の見守りを頑張っていますが、生活困窮者の多くは家族や地域などの支えが少なく孤立した生活をおくっている。これからは地域における総合相談や包括的な支援、地域を超えたネットワークが必要であり、市には素早い相談受付を行うワンストップセンターの設置と、関係機関と情報を共有しながら地域の見守り活動を進めるための協力をお願いしたい」などとあいさつ。
津谷市長は「委員の皆さんが現場で苦労されていることを聞き、改善に向けて努力できることを検討していきたい。この新制度のために全国で準備を進めているが、生活上の困難を抱えた人々に対する包括的な相談支援という大きなテーマのため、自治体によって取り組みに差がでてくるといわれている。様々な困難を抱えた皆さんのニーズを的確に捉えた支援を展開し、暮らしやすい・住んでよかったと思われる北秋田市にしていきたい。参加された皆さんは地域でも話題に取り上げ、助け合いの輪を広げていただきたい」などとあいさつしました。
講演では、秋田市出身で日本地域福祉研究所の小野敏明副理事長が「生活困窮者支援における民生委員と地域の役割」と題して講演を行い、様々な年代が集まるたまり場を会社の協力を得て社員食堂に設置した例など、各地で行われている取り組みを紹介しながら「法律の制度だけでは全ての人は救うことはできない。自ら声を上げられない人たちを救うためには住民の力が必要であり、学区などの小地域での支え合い活動や見守り活動に参加しながら、民生委員や専門職員と一緒に生活困窮者をいち早く発見し、問題を解決していくことのできる住みよい地域を作っていきましょう」などと地域支援のあり方について説明しました。
この後行われた事例報告では、北秋田市民生委員児童委員協議会の木村信郎副会長、北秋田市社会福祉協議会の地域福祉部の楢岡美克子主任、北秋田市福祉事務所の米澤潤福祉課長が、それぞれの立場での活動から見えてきた問題や課題を報告。このうち、楢岡主任は全戸訪問活動で遭遇したケースを紹介し、社会的に孤立している方と地域を繋げる居場所を作ることが大事としながら、「孤立しない社会は地域住民の皆さんと一体になって初めて作られます。『あの人をどうにかしてくれでなく、どうにかしよう』」という気持ちで同じチームとして頑張りましょう」と呼びかけました。
最後は、北秋田市社会福祉協議会の高坂会長が「福祉の世界でこれほどの大変化が生じることはないと思う。古い習慣を打破して、大勢の人たちが同じ方向性を持って頑張っていきましょう」と締めくくりました。