2014年11月26日
コンテンツ番号7440
地域の皆で一人の命と向き合う
平成26年心の健康づくり講演会が、11月26日(水)に鷹巣保健センターで開かれ、市民など約50人が参加し、自殺予防とがん対策について理解を深めました。
開会にあたり寺田茂信健康福祉部長が「秋田県の平成25年の自殺による死亡者数は277人で前年より減少していますが、自殺による死亡率は平成7年から19年連続で全国1位という大変残念な記録が続いています。自殺の動機は様々だが、結果として遺族をその後も長く悲しませ、心に傷害を与えることさえあり、誰もが辛い出来事です。しかし、自殺は本人の努力やまわりの支援によって避けることができると思います。市が合併して10周年を迎え、皆で支え合う温もりのある街づくりを進めていますが、そのためには体の健康も心の健康づくりも大変重要です。一人一人が命の大切さを感じ、身近な人に声をかけ、話を聞いて必要な支援に繋げるという意識を持ちましょう」などとあいさつを述べました。
講演では、山本孝史のいのちのバトン代表・NPO法人わたしのがんnet代表の山本ゆきさんが「いのちのバトンを引き継いで」と題して講演を行いました。山本さんは、故・山本孝史参議院議員の妻で湯沢市出身。日本人の死因で一番多い「がん」対策をより一層推進するための「がん対策基本法」と、当時急増していた自殺者とその遺族に対する支援を定めた「自殺対策基本法」の成立に向けて、自身も末期の胸腺がんに侵されながらも法の制定に力を注いだ山本議員の意志を引き継ぎ、がん患者団体支援機構理事も務めながら自殺予防やがん対策に取り組んでいます。
山本さんは、山本孝史議員の活動と国会での様子を紹介しながら、法律が制定された平成18年当時を振り返り「この法律が前例がない程の短期間で成立できたのは、自殺対策に取り組む民間の人たちによる生の声と、命を守るのが政治家の務めであるという山本議員の姿が、与党野党を問わずに政治家の心を動かしたからだと思う。自殺は個人だけの問題でなく社会の問題であり、30万人のがん患者と年間3万人の自殺者の『救える命は救う』という山本議員からの『いのちのバトン』をこれからも引き継いでいく」などと語りました。
このあと、NPO法人蜘蛛の糸代表の佐藤久男さんと山本ゆきさんによる対談が行われました。佐藤さんは旧森吉町出身。秋田県庁に入庁しましたが、起業のために退職。しかし、会社が倒産して資産の全てを失い、自身もうつ病と闘いましたが、同時期に知人の経営者が自殺をしたのをきっかけに、中小企業者とその家族を支援するNPO法人蜘蛛の糸を設立。倒産に伴う中小企業経営者やその家族の自殺予防活動を行っています。
対談では、「秋田モデル」と呼ばれる秋田県の自殺対策は、民・学・官がうまく機能して実際に効果が表れているとし「専門科でなくても誰でも自殺対策はできる。早い段階で手を打つことで食い止められる自殺はたくさんあるので、隣りで悩んでいる人がいたら弁護士等でなく身近な人が話を聞いてあげてほしいし、立派な相談機関を作ったり立派にやるよりは継続して話しを聞く方が大事。また、自分自身を愛して明日やもっと未来のことを考えて日々を過ごしてください」などと語りました。参加者からは、がんと向き合っていくための考え方などについて質問がなされるなど、命の大切さについて考える一日となりました。