2014年11月29日
コンテンツ番号7436
いのちを守り、いのちを支える
さきがけいのちの巡回県民講座が、11月29日(土)に交流センターで行われ、市内外から約50人が参加し、参加者たちは自殺防止運動について理解を深めました。
この活動は、秋田魁新報社が主催して行っているもので、一人でも多くの命を守り支えるために、自殺対策関係者との情報交換を行いながら、県民参加型の自殺防止運動の展開しています。昨年は県内6会場を巡回し、今年の第1弾北秋田市会場を皮切りに、このあとも県内を巡回します。
また、会場ではさきがけいのちの総合相談会と称して、様々な分野の悩みに対する相談会も行われました。
この日司会を務めたのは、精神保健福祉ボランティア「れもんの会」会長で、秋田・こころのネットワークの会長も務める小坂和子さん。はじめに、主催者を代表して秋田魁新報社の小林敦取締役営業局長が「自殺問題は非常に大きな社会問題になっており、2007年から地元の新聞社として何とかしなければという思いで活動してきた。自殺は個人の問題ではなく、地域をあげて社会問題として取り組まなければ、なくならないと危惧している。自殺者が1人でもいるうちは、紙面を通してこの運動に関わっていきたい」などとあいさつを述べました。
続いて、開催地を代表して工藤信夫副市長が「自殺の動機は様々ですが本人はもとより、残された関係者は非常に辛いものです。市でも自殺の減少を図るために、地域自殺対策緊急強化事業を国・県と一体になって取り組んでいるほか、こころのネットワーク会議による関係機関との連携強化を図っています。市民一人一人が身近な人に声をかけて話を聞き、必要な支援に繋げる意識をもつほか、地域全体で支え合うことができる温もりのあるまちづくりと、県内の自殺者ゼロを実現できるようにご協力をお願いします」などとあいさつを述べました。
このあと講座が行われ、秋田大学准教授の佐々木久長氏と協和病院院長の善本正樹氏による講話が行われました。
佐々木氏は「今までの自殺予防対策は『死にたいと思っている人に我慢してもらう』対策だったが、これからは『死にたいと思っている人に生きたいと思ってもらう・幸せを感じてもらう』対策を進めていかなければならない。深刻な悩みほど自分からは相談できないものであり、相談できるような人と繋がったときに感じる喜び。そこに生きる幸せを感じてもらうために、一緒に幸せを探していくことが自殺予防対策に繋がる」などと話しました。
善本氏は「自殺は、問題や苦しみを解決する最上の方法ではありません。脳が病的思考であるがために、過度にマイナスに考えすぎ、死ぬことが唯一の方法であるという誤りに気が付いていないのです。心身の健康を強く意識し、不調を早期に気付き、信頼できるかかりつけ医をもつことが自殺予防の原則だが、心身の健康を保ち、プラス思考でいるために体を動かすこと、睡眠をとること、笑顔をつくることを大事にしましょう」などと話しました。
このあと、佐々木久長氏をコーディネーターに秋田・こころのネットワークの小坂和子会長、NPO目的のある旅の草野剛代表、市医療健康課の佐藤和枝参事と渡辺聖子主査による討論会が行われました。
討論会では、市が行っている無料相談等の自殺対策について説明。その中でも、75歳以上の方を対象に保健師が地域に出向く「ホッと・あい訪問」について、「全保健師が地区を一つずつ担当し、各地区の実態を把握することができた。一軒一軒訪問することで高齢者の自殺を防ぐほか、同居家族間での問題等にも触れることができた」と紹介し、最後は佐々木久長氏が「私たちは大変な問題に取り組んでいるが、1人ではなく繋がっているということに自信を持って取り組んでいきましょう」などと締めくくりました。