2014年10月26日
コンテンツ番号7411
北の大地に新たな風が吹く
国民文化祭あきた2014の現代詩フェスティバル「文芸祭現代詩大会」が、10月26日(日)に文化会館を会場に開催され、約500人が参加しました。
この文芸祭現代詩大会は、国民文化祭あきた2014の北秋田市主催事業「現代詩フェスティバル」の一つとして行われたもので、全国から応募があった現代詩の表彰を行う第一部と、詩に関するアトラクションなどが行われた第二部のプログラム構成で行われました。
また、前日の25日には阿仁熊牧場や阿仁異人館・伝承館といった北秋田市の名所を巡り、自然と歴史を感じながら詩作し、朗読する「北の風土・詩作の旅」も行われ、市内外から29人が参加しました。
第一部の表彰式のオープニングイベントでは、「駒踊りと朗読」と題して、北鷹高校演劇部の関俊平さんと多賀谷美穂さんによる詩の朗読と、上杉獅子踊り保存会による駒踊りが行われました。朗読された詩は、元合川町長で詩人としても知られる故・畠山義郎氏の「幻想-踊る駒」。
詩は「シッサ、シッサ」の掛け声から始まり、馬と人が共存する生活文化の歴史を表した詩の内容と、力強く披露される駒踊りに、会場からは大きな拍手が起こりました。
次に主催者を代表して、文化庁の加藤敬・芸術文化課長と津谷市長があいさつ。加藤課長は「題材とする対象と深く向き合い、自らの心を見つめ、選び抜かれた言葉によって様々な情感を伝える現代詩は素晴らしい芸術表現の一つです。詩の世界を愛する全国の皆さんが今後も優れた作品を創作されることを心から期待します」とあいさつを述べ、津谷市長は「文化継承活動に励まれている方々や次世代を担う若者が、文化の力を再確認する国民文化祭は秋田県では初めての開催となり、県内各地で様々な文化交流がされています。当市で現代詩大会が開催されることになったのは、先に披露された故・畠山義郎氏の功績が大きいと考えており、改めてその偉大さを実感し、その功績に深く敬意を表します。この大会が今後の現代詩の更なる発展に繋がり、文化振興をより一層推し進める契機となることを期待します」などとあいさつを述べました。
このあと、4600編の中から各賞に選ばれた作品の表彰が行われ、最高賞となる文部科学大臣賞は小学生の部では前田小学校一年生の若松璃子(りこ)さん、中・高校生の部では鷹巣中学校三年生の佐藤嶺(りょう)さん、一般の部では秋田県の鶴巻大(まさる)さんが受賞し、このほか、国民文化祭実行委員会会長賞、秋田県知事賞など34人が表彰を受けました。
また、作品の選評を行った審査委員を代表し、日本現代詩人会の朝倉宏哉・文芸祭現代詩大会審査委員長が「最終審査委員は、日本現代詩人会・日本詩人クラブ・秋田県現代詩人協会からそれぞれ3人の計9人が3部門に分かれ、作者や出身がわからない状態にして作品のみで審査を行った。後日結果を見て、秋田県の入賞者が飛びぬけて多く、特に秋田の小・中学生が優れた詩を書いているということを感じた。言葉の力は生きるエネルギーであり、そこに詩を書く意味があると思う。今大会の開催により、秋田の地に新しい風が吹いたことが審査委員として心強く思う」などと感想を述べました。このあと、文部科学大臣賞を受賞した3部門の作品が作者によって朗読され、第一部は幕を閉じました。
昼の休憩時間には、交流センター前で綴子大太鼓上町保存会による大太鼓の演奏と獅子踊りが披露され、県外から訪れた参加者は、その迫力ある響きに驚いた様子でした。
午後からの第二部では、秋田北鷹高校書道部による書道パフォーマンスで幕を開けました。発表テーマを「感謝」とし、縦5メートル・横7メートルの一枚の大きな紙に8人の部員が、特大の筆も使いながら学校生活や日常生活の中で生まれてくる感謝の気持ちを書き表すと、その書かれた大作と音楽に合わせて筆を走らせるパフォーマンスに、会場からは大きな拍手が送られました。
続いて、秋田県現代詩人協会の福司満・副会長が、秋田の県北だけでも約50種類ある駒踊は大半が三角関係を表しているが、綴子の駒踊りは村や水不足、疫病の祈願であることを紹介しながら「愛と恋の『獅子踊り』」という詩を朗読しました。また、綴子大太鼓上町保存会による獅子踊りも行われ、参加者は詩の朗読と獅子踊りのコラボレーションを楽しみました。
このあと「地域文化と詩、方言と風土」をテーマに、タレントの伊奈かっぺいさんと、詩人のあゆかわのぼるさんによる記念対談が行われ、方言を交えながら秋田や東北について面白おかしく語られる対談に、会場は笑いに包まれました。
フィナーレでは、秋田県現代詩人協会や朗読ボランティア「やまびこ」の皆さんにより、男鹿や駒ヶ岳、阿仁など秋田の名所について書かれた詩が群読されたあと、北秋田市現代詩フェスティバル企画委員の皆さんから、次回の現代詩大会開催地・鹿児島県南九州市への引き継ぎが行われました。
引き継ぎを受けた南九州市教育委員会の中村洋志・教育長は「南九州市は、平成19年12月に合併して誕生した薩摩半島南端部に位置する人口約3万8千人の町で、茶とさつまいも、鶏卵が日本一の生産量を誇ります。また、伊能忠敬が天下の絶景と絶賛した番所鼻(ばんどころばな)自然公園、約400メートルの長さの岸壁に梵字や仏像等が掘られた清水磨崖仏群(きよみずまがいぶつぐん)などの豊かな歴史に溢れる町でもあります。今大会に参加して、北秋田市を舞台に多くの出会いや新たな発見があったことに感謝し、次回の大会では北秋田市・秋田県を中心に全国各地からたくさんの作品の応募があり、更に豊かな大会になるように引き継いでいくことを約束します」などと決意を述べました。
また、閉会の言葉として、成田陸夫・北秋田市芸術文化協会会長が「今回の現代詩フェスティバルでの全国の方々と交流が、地域文化を育てる機運の高まりとなり、大きな感動と成果とともに未来へ繋がる新しい風となるように」との言葉を述べ、最後は、北秋田市(旧森吉町)出身の作曲家・成田為三の代表曲「浜辺の歌」を参加者全員で合唱し、現代詩の祭典は幕を閉じました。
入賞者紹介
敬は省略させていただきます。
小学生の部 | 「しゅくだい」 | 秋田県北秋田市立前田小学校一年若松璃胡 |
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中・高校生の部 | 「君といっしょに」 | 秋田県北秋田市立鷹巣中学校三年佐藤嶺 |
一般の部 | 「手」 | 秋田県鶴巻大 |
小学生の部 | 「どじょう取り」 | 岩手県奥州市立木細工小学校四年菊池飛鳥 |
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中・高校生の部 | 「一センチでも高く」 | 秋田県北秋田市立森吉中学校二年菅原亜子 |
一般の部 | 「ハタハタ」 | 秋田県小松春美 |
小学生の部 | 「はじめてのたうえ」 | 岩手県奥州市立木細工小学校一年菊池怜史 |
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中・高校生の部 | 「永遠の一瞬」 | 秋田県大館市立田代中学校二年松坂祐太 |
一般の部 | 「犬と歩く」 | 岡山県坂本遊 |
小学生の部 | 「おじいちゃんの旅」 | 秋田県大館市立長木小学校六年川田真穂 |
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中・高校生の部 | 「自分を見つめて」 | 秋田県大館市立第一中学校三年桜庭凜花 |
一般の部 | 「指の記憶」 | 東京都水嶋きょうこ |
小学生の部 | 「秋田のお米」 | 秋田県大館市立東館小学校四年杉沢歩美 |
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中・高校生の部 | 「マフラー」 | 東京都学校法人桜蔭中学校二年小林真夕 |
一般の部 | 「シャツを洗う」 | 広島県松本賀久子 |
小学生の部 | 「なみだ」 | 栃木県宇都宮市立中央小学校五年水島知周 |
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中・高校生の部 | 「睡魔」 | 秋田県大館市立第一中学校三年兎澤光一 |
一般の部 | 「分水嶺」 | 青森県吉崎光一 |
小学生の部 | 「ぴあにか」 | 秋田県北秋田市立大阿仁小学校一年伊藤颯汰 |
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中・高校生の部 | 「Let's See...」 | 秋田県大館市立南中学校三年齊藤けい |
一般の部 | 「ある助産師の伝言」 | 岐阜県後藤順 |
小学生の部 | 「りんごの木」 | 秋田県大館市立桂城小学校二年成田碧泉 |
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中・高校生の部 | 「奏でる音と本音(こえ)」 | 秋田県北秋田市立阿仁中学校二年吉田早良 |
一般の部 | 「土」 | 秋田県高橋岺夫 |
小学生の部 | 「さか上がり」 | 秋田県北秋田市立綴子小学校四年畠山陸斗 |
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中・高校生の部 | 「空に向かって」 | 秋田県北秋田市立阿仁中学校三年福森樹 |
一般の部 | 「無常の点滅」 | 宮城県菊田郁 |
小学生の部 | 「じまんのかじや」 | 栃木県北秋田市立前田小学校三年西根若菜 |
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中・高校生の部 | 「その先の海へ」 | 茨城県茨城大学教育学部付属中学校三年齊藤美桜 |
一般の部 | 「海風に」 | 福嶋県深町一夫 |
小学生の部 | 「おばあちゃんと熊」 | 秋田県大館市立長木小学校六年北林流夏 |
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小学生の部 | 「山博士」 | 秋田県北秋田市立鷹巣西小学校五年成田風花 |
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中・高校生の部 | 「春、夏、秋、冬。」 | 兵庫県神戸市立六甲アイランド高等学校一年山下琴音 |
一般の部 | 「太郎湯の煙突」 | 東京都野上卓 |