2014年01月15日
コンテンツ番号7086
平成26年JA鷹巣町青年部「雪中田植え」
(2014.1.15)
今年の稲作の豊凶を占う小正月行事「雪中田植え」が1月15日(火)、大太鼓の館前で行われ、JA鷹巣町などの関係者約40人が田の神にお神酒を供え、豊作を祈願しました。
雪中田植えは、農家が一年の仕事始めの儀式として1.8m四方の水田に見立てた雪の田んぼを作り、稲わらや豆からを束ねた「稲」を植え、一年の作柄を占う民俗行事で庭田植えとも呼ばれています。
かつては、干ばつや台風などの「邪気」を祓い、神聖な田の神に、五穀豊穣を祈る大切な儀式で、秋田県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残していますが、現在では綴子のほか、湯沢大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
綴子地区に伝わる雪中田植えも、一度途絶えたものを昭和58年、稲作作りに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎さん(綴子上町)によって復活されました。昭和61年に高橋さんが亡くなって、また一時途絶えましたが、昭和63年より地域の農業後継者である旧綴子農協青年部が意思を継いで「再復活」、現在はJA鷹巣町青年部(堀部靖部長)が継承し今日に至っています。
大太鼓の館前に特設された雪田の前で、始めに堀部青年部長が「農政はTPPの問題や減反の廃止、米の直接交付金の見直し等、大きく転換していこうとしている。これからは攻めの農業が大切とよく聞こえてくるが、地域の農業を守り、このような伝統行事を守り続けていくという、守りの農業も大切にしていかなければならいと考えている。今日は雪中田植えを行い、皆さんと一緒に今年の豊作を祈念したい」などと主催者あいさつ。
続いて、津谷市長に代わり中川真一・産業部長が「農業を取り巻く情勢は、TPPへの参加表明や生産調整政策の廃止が打ち出されるなど激変しようとしており、農家の皆さんは大きな不安を持たれていることと思います。市の基幹産業である農業が元気になり、農家の皆さんに明るい展望が見えてこなければ、地域経済に発展はありません。農業に携わる皆さんが安心して営農ができ、その事により地域が元気になり活気が出てくるよう、市としても精一杯の支援していきたい。皆さんの今年一年が良い一年になるよう、そして、来たる出来秋が五穀豊穣に恵まれるようお祈りしています」などと市長からのメッセージを代読しました。
このあとの儀式では、昨年と同じくJA鷹巣町青年部役員の奈良田大輔さん(32歳)が田植え人を務め、けら、菅笠姿の昔ながらの装いで30センチ間隔で4条に4株ずつ計16束の「苗」を丁寧に植え付けました。
田植えの後には、虫除けのためスス払いのワラぼうきで雪田をお祓いし、田の目印として、そのワラぼうきを逆さにして雪田の中心に立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒を供え、参加者が豊作と米価の上昇などを祈願しました。
2月1日には豊凶を占うため稲刈りが行われ、その際「稲」が直立していれば実がはいらない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏を意味し、それぞれ凶作、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作、という一年のお告げが出るとされます。