2015年12月07日
コンテンツ番号7065
約600人が認知症について学ぶ
「認知症と正しく向き合う」をテーマにした北秋田市民公開講座が、12月7日(月)に文化会館で開かれ、約600人が受講し認知症について理解を深めました。
公開講座は、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予想されていることから、認知症の正しい知識を学ぼうと開催されました。
はじめに北秋田市健康福祉部の柴田榮則部長が「北秋田市では9月末に高齢化率が40%を越えました。それに伴い、これから認知症の方が多くなることが危惧されています。今日は、誰でもなり得ると思われる認知症を正しく理解するとともに、その予防法、あるいは病院での受診の仕方、そして患者さんへの接し方などを学びたい」などとあいさつしました。
このあと、秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座助教で、北秋田市民病院でも診療にあたっている高橋裕哉先生が「身近な認知症とその予防策」と題して講演しました。
高橋先生は、平成14年に秋田大学医学部を卒業し、山本組合総合病院、市立角館総合病院等を経て平成23年4月より現職。大学病院では、精神科一般外来のほか、ものわすれ外来の担当医として認知症診断とその治療等に従事。平成23年6月からは緩和ケアチームとしての活動にも取り組み、現在、副センター長を務められています。
講演で高橋先生は「日本人がなりたくない病気の1位がアルツハイマー型認知症となっているが、根本的な治療法がないのも一因になっていると思う。認知症は高齢化とセット。老化をとめることができないと認知症になってしまう。現在、認知症にならなくする方法はないが、薬により進行を抑制することができる。そのためには早めの受診が大事。進んでから来ても薬の有効性はあまりない。物忘れがあるからといって特別困らないという方もいると思うが、第三者から見て明らかにおかしい場合は受診した方がいい」などと説明しました。
また、認知症の予防法として「生活習慣病に気をつけ、抗酸化作用の食事、運動により脳の血液をサラサラにしておくことや、退屈な生活をしない、早寝早起きなどで睡眠の質をよくすることが大事」と指摘しました。
さらに「認知症の人は孤立感を抱いており、苦痛は、周囲の人との関係によって生じる。周りが認知症をはずかしいこととか、怖いことと思っていると患者さんの苦痛が増します。薬で病気の進行を抑えても、一方で苦痛が増しているとすれば本末転倒。認知症とともに生きることで、生きがいや意義が感じられる社会や、全体で認知症と向き合っていく社会を目指さなくてはいけないと思う」と締めくくりました。
受講者は、先生の話に時折うなずいたり、メモをとったりしながら熱心に聞き入っていました。