2015年08月23日
コンテンツ番号6933
伝統芸能への理解と関心を深める
第10回北秋田市民俗芸能大会が、8月23日(日)に文化会館で開催され、市内外から詰め掛けた大勢の観衆が郷土色豊かな芸能の数々を楽しみました。
市内各地区の集落には、たくさんの個性豊かな郷土芸能が伝承されています。しかし、一般的には地区の祭典やお盆の時期、集落内で公開されていることから、ほかの地区の市民が目にする機会が少ないのが現状です。また、後継者不足などの理由から廃れてしまった芸能も多く、保存・伝承が課題にもなっています。
大会は、市内で演じられている芸能を一堂に集めて市民に公開し、民俗芸能への理解と関心を深め、保存・伝承につなげることなどを目的として始まったもので、第10回目となった今年の大会には『上杉獅子踊り保存会』、『阿仁からめ節保存会』、『北秋雅楽会』、『根子番楽保存会』の4団体が出演しました。
開会にあたり、北秋田市教育委員会の長崎幸雄次長が「北秋田市では、お盆を中心に伝統芸能が披露されているが、近年の少子高齢により、どの団体も後継者不足に苦慮されている。このように市内で頑張っている団体が、一堂に会して交流し披露することで、今後の励みとなるとともに伝統芸能保存の機運が高まるものと考えている。民俗芸能は地域の宝。未来につないでいくため、市としても機会をとらえ支援していきたい」などとあいさつ。このあと、上杉駒踊りを皮切りに民俗芸能が披露されていきました。
上杉駒踊り(上杉大名行列から)
上杉獅子踊り保存会/上杉伝統芸能保存会上杉大名行列踊りは、約380年前に大名行列を武芸の形にしたのが踊りの始まりといわれています。大正初期から昭和22年まで一時中断されていましたが、地域の有志により復興され現在に至っています。
この日は、戦国時代の騎馬武者の戦いを表現した駒踊りを披露しました。上演の種目は、四拍子ぶっこみ、三番そう(さんば)、岡崎(おかざき)、膝おり(ひざおり)、七五三の片乗り(しちごさんのかたのり)の5つ。
阿仁からめ節
阿仁からめ節保存会阿仁からめ節は、選鉱作業を担っていた女性たちが、鉱石を細かく砕くため金づりを振る拍子に合わせて歌ったのが原型とされており、宝永4年以降に起源を持つと伝えられています。
この日は、踊り手の一行が観覧席後方から2列になって登場。選鉱作業の労働の激しさを紛らわすために口ずさんだといわれる唄に合わせ、赤い紐の前掛け姿で働く様子を踊りで表現しました。
雅楽
北秋雅楽会雅楽は千数年前、平安時代に曲目・楽器編成・音楽理論が整理され、その時点でほぼ現在の様式になりました。舞をともなわない合奏だけを楽しむ管絃(かんげん)の演奏スタイルは、「世界最古オーケストラ」と云われています。
出演した北秋雅楽会は、大館北秋管内神社の神職で組織されており、神社や祭典での演奏奉仕をはじめ、伝統文化に親しんでもらうため、学校や各種行事で演奏活動や紹介を行っています。
根子番楽
根子番楽保存会根子番楽は、各地に伝わる数多くの番楽の中にあって、古式をよく現代に残している能楽の一つであると関係各界から注目されており、特に歌詞の内容が文学的に優れていることと舞の形式が能楽の先駆を成す幸若舞(こうわかまい)以前のものであることが賞賛されています。
毎年、8月14日に行われる定期公演では9演目が披露されていますが、この日は「鞍馬」、「曽我兄弟」の2演目が披露されました。