2015年06月03日
コンテンツ番号6360
一般質問に5議員が登壇
(2015年6月3日)
平成27年北秋田市議会6月定例会の本会議が、6月3日(水)に議事堂で再開され、5議員が「教育委員会制度について」や「地方創生について」などの事項について一般質問を行いました。
一般質問のなかで、教育委員会制度についての質問では「改正された教育委員会制度は、首長の教育行政への介入が強化されているが、このことをどう考えているか」などと議員から質問があり、それに対して三澤教育長は「以前から市長とは密接に連絡を取り合い、教育施策を進めてきたので、改正になったからといって大きな変化はない。新制度においても合議制の執行機関であることに変わりなく、出席委員の多数決により決定することに変わりはない」などと答弁。
また、「地方創生について」の質問のなかでの「当地域の特色や独自性を生かした活性化策の取り組みについて」の質問に対し、津谷市長は「『雇用創出のための産業振興』、『移住・定住対策』、『少子化対策』、『新たな地域社会の形成』の4本を柱として、地方版総合戦略の具体的な施策の検討を行うこととしており、第2次北秋田市総合計画策定審議会や北秋田市総合戦略会議の議論も踏まえながら、当市の地域資源を生かした活性化策を具体化していく」などと答弁しました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
福岡由已 議員(無会派)
(順位:1-1)
教育委員会制度について
3月定例議会議案第17号の提案理由について
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なぜ提案理由に関して答弁できる態勢をとらなかったのか
3月定例会で可決いただいた議案第17号は、北秋田市議会委員会条例の一部改正、北秋田市職員定数条例の一部改正、北秋田市教育委員会教育長の給与及び勤務時間等に関する条例の廃止など6件の条例を一括して提案したもの。説明部局としては所管する条例が多かった総務部での対応とさせていただいた。
『改正』地方教育行政法と北秋田市の規制に関わる疑問について
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新教育長について
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大綱の策定について
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総合教育会議の新設について
改正の地方教育行政法は、現在の教育委員長と教育長を一本化し、いじめ等の危機管理に迅速に対応して、責任の所在を明確にすること、また、首長が主宰する総合教育会議で市長と教育委員会が教育に関する議論し、課題を共有して教育環境の整備を進めることが目的と認識しています。本市においては以前から市長と教育長が密接に連絡を取り合い、教育施策を進めてきましたので、法律が改正になったからといって大きな変化はないものと考えていますし、新しい制度においても合議制の執行機関であることに変わりなく、委員の多数決により決定することに変わりはありません。
北秋田市教育委員会に対する提言について
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教育委員が直接住民の要求をとらえ行政をチェックする
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教育委員会が活動するための条件整備を行う
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政治的介入から教育の自由と自主性を守る
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憲法と子どもの権利条約を活かす
当市の教育委員会の会議では、毎回それぞれの委員が活発に意見を述べていますし、事務局側も委員の意見を取り入れて施策を進めています。新教育委員会制度でも、この方針が変わることはありません。子どもは社会の宝であり、未来を担う貴重な人材であると言われているとおり、当市の教育委員会においては、この大原則を忘れることなく教育行政を進めていきます。
板垣淳 議員(日本共産党議員団)
(順位:1-2)
地方創生について
地方衰退の要因とその対策をどのように考えているか
秋田県の人口減少から見た衰退要因としては、新規学卒者の雇用の受け皿が小さく賃金等雇用条件に都会との格差が見られること、農業については機械化により労働力に余剰が生まれるとともに、米の生産調整や米価下落により農業収入が不安定で農業従事者が減少したこと、林業については輸入の自由化による原木価格の下落とともに暖房や炊事に使用していた薪炭が灯油に移行したこと、農林業の余剰労働力の受け皿となっていた建設業が公共事業費の削減により就業者数を減らしていること、地域経済だけでなく文化にも大きな影響を及ぼした鉱山が閉山し、関係者の多くが県外に流出したこと、企業誘致で縫製や電気機械などの製造業が多くの雇用を生み出したものの、製造拠点の海外シフトや円高など経済のグローバル化の波にさらされ、廃業を余儀なくされた事業所が少なくないことなどが挙げられます。その対策としては、究極的には社会構造や産業構造を変えることに行き着くことになりますが、国全体としては、例えば首都圏からの本社機能の地方移転などに取り組むことが挙げられますし、当地域としては生活様式の多様化に着目した「収入は多くを望まないが、自然の中で心豊かな生活を希望する」方への移住提案など、地域資源を生かす取り組みを進めることになると考えています。
当地域の特色や独自性を生かした活性化策の取り組みについて
総合戦略の策定にあたっては「雇用創出のための産業振興」「移住・定住対策」「少子化対策」「新たな地域社会の形成」の4本を柱とし、具体的な施策の検討を行うことにしています。総合戦略には、定住促進基本方針に従い既に開始されている事業や、地方創生先行型事業等を盛り込むことになると考えていますが、第2次北秋田市総合計画策定審議会での議論や今月下旬に設立を予定している北秋田市総合戦略会議の議論も踏まえながら、当市の地域資源を生かした活性化策を具体化していきます。
阿仁診療所の建て替えについて
建て替え場所は、いつ頃を目処にどのように決定する考えか
昨年5月に「阿仁診療所整備検討委員会」を設置し、実際に医療に携わっている医師等の意見や、通院している方々への聞き取り調査を行いながら、検討を重ねてきました。昨年12月には、検討委員会から「現在地での建て替え」という報告をいただいたが、3月定例議会で「阿仁庁舎の隣接地への建設」を希望する阿仁診療所の建て替えについての陳情が採択されています。市としては、どちらの意見も尊重しなければならないと思いますが、診療所の整備にあたって重要なことは、利用される皆様に安全で安心な医療を提供すること、そして、医師を始めとした従事者に最適な医療環境を創り上げることと考えていますので、総合的に判断して決定したいと思います。なお、当初の計画では本年度の設計を考えていましたが、現在は着手時期を含め白紙の状況です。
松橋隆 議員(みらい)
(順位:1-3)
小集落の移転について
小集落移転の政策を
小集落の移転があった場合、国、県の補助金はあるのかどうか。その内容は
集落移転に対する補助事業については、総務省が所管する「過疎地域等自立活性化推進交付金」に集落移転事業があります。内容としては、移転戸数が5戸以上で集団移転するなどの要件を満たした場合、1戸当たり最高で614万円を市町村から対象世帯に交付されるもので、国は支給額の2分の1を市町村に補填するという制度になっています。集落移転については、今後避けて通れない課題と認識しており、集落移転による行政コストの削減や、災害時における安否確認が容易になるなど、行政運営上の利点はあるものの、市民意識調査では年齢層が高くなるほど「今の場所に住み続けたい」と回答した方の比率が高くなる傾向にあり、70歳以上にあっては85%を超える結果がでていますので、具体的に集落や自治会から相談をいただいた段階で検討させていただきたい。
仙台市との友好都市締結について
市長の見解を再度伺う
友好都市の締結には、行政だけでなく民間を含めて、人や文化の交流が継続的かつ活発に行われていることが必須条件となるものと認識していますが、当市と仙台市はそのような段階に至っていないと思っています。仙台市は最も近い大都市であり、奥山仙台市長は秋田県出身でもあることから、必ずしも友好都市締結にこだわらなくとも、観光PRや、物産販売などで協力・交流を続けていきたい。
小水力発電について
北秋田市としての認識を問う
地球温暖化対策としての二酸化炭素排出抑制や、東日本大震災以降の原発依存からの脱却に向けた取り組みとして、再生可能エネルギーの導入は国を挙げて進められているところであり、小水力発電についても、その一翼を担うものと認識していますし、地域資源の活用という地方創生の観点からも注目すべき取り組みと考えています。
水利組合、管理組合の団体、又は法人格を有する企業が水力発電事業を行った場合、国、県の補助は。あるとすればその内容を伺いたい。
小水力発電事業については、経済産業省、環境省、農林水産省が補助制度を設けており、経済産業省では、発電事業者を対象にしたもの、環境省では主に自治体を対象としたもの、農林水産省では自治体のほか農協や土地改良区を対象としています。また、県においては、昨年9月に「秋田県農業水利施設活用小水力等発電推進協議会」が設立されており、補助事業には農村地域環境整備事業の中の地域用水環境整備事があります。設置例としては、用水路の落差工、上流水路と下流水路の高低差、パイプラインの落差利用など、急流な勾配の箇所であれば、設置可能となっていますが、その前段として導入の可能性を検討するための小水力発電整備事業計画の作成が必要であるほか、土地改良区等が管理する施設であって、適正な維持管理が見込まれることが条件となっています。
安ノ滝の道路整備とブナ森線の県道昇格について
森林管理局長と市長が会うべきではないか
安ノ滝の道路整備については、昨年、東北森林管理局長出席のもと開催された秋田県国有林野等所在市町村長有志協議会の席上でも要望しており、森林管理局からは「林道の管理については、定期的に巡視を行い、集中豪雨や台風などの後には早急に点検を実施し、崩壊等がある場合には、状況に応じて危険表示や通行止めの措置を講じるとともに改良等の工事を行っており、併用林道の安ノ滝林道については、維持修繕及び災害復旧工事を、協定に基づき実施している」との回答をいただいています。
ブナ森線先ずもって仙北市と北秋田市でもって期成同盟会を立ちあげるべき
県道河辺阿仁線の改良促進、及び仙北市と北秋田市を結ぶ市道の県道昇格を早期に実現することを目的に、秋田市と仙北市、そして当市の三市により「県道河辺阿仁線整備促進期成同盟会」を平成19年度に設立しています。今後は、仙北市と協議を重ねながら、この会や地域振興局との意見交換会など様々な場面において、粘り強く要望していきたいと考えています。
武田浩人 議員(緑風・公明)
(順位:1-4)
マイナンバー制度への対応について
今後の周知方法について
高齢者向けの周知方法の必要性について
国では、テレビCMの放映やコールセンターの開設のほか、外国人向けの広報等の様々な周知活動を行っており、市としても各庁舎等への広報ポスターの掲示や、市ホームページでの制度概要をお知らせしてきたところですが、議員ご指摘のとおり、市ホームページ内での掲載場所が、分かりづらくなっていますので、早急に改善するよう対応を進めています。また、制度の理解や申請手続き等については、市民の皆様にまだ十分に伝わっていないと感じているところもありますので、今後もホームページや広報誌を通じて情報提供するとともに、要請に応じて出前講座等の周知活動を行っていきたい。
個人番号カード取得申請手続きについて
顔写真を添えて郵送等により申請できますが、カードの受領は個人番号カードの暗証番号を設定していただく必要があることや、成りすましによる犯罪等を防止する観点から、基本的には本人確認のために窓口に来庁いただくことになると考えています。しかし、病気などで本人が外出できず、来庁できない場合等も考えられるので、住民票等宅配サービス手法による対応が可能を含め詳細な検討を行ったうえで、市民の皆様に周知していきます。
今後の空き家対策について
現在の当市の管理が悪い空き家の状態について
平成24年度に実施した空き家等実態調査では、空き家総数648戸のうち、倒壊等の危険がある空き家が112戸、草木・ゴミ等が散乱し、景観・環境上問題がある空き家が12戸あり、計124戸が問題のある空き家となっています。各空き家の追跡調査は実施していませんが、問題がある空き家とした124戸のうち、現在までに5戸が解体され、新たに問題のある空き家とされたものが3戸あるので、現段階では差し引き122戸が問題のある空き家となっています。これまでに条例に基づいて、所有者に対して必要な措置を講ずるよう勧告したものはありませんが、文書により改善のお願いをしたものが16戸あり、その内の3戸については改善していただいています。
空き家等対策計画の策定について
5月26日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行され、今後、県から提供される情報を基に「空き家等対策計画」を策定しますが、解体費等の補助制度については、実施の方向で検討を進めています。なお、北秋田市空き家等の適正管理に関する条例については、改正となるのか、廃止の上、新条例を制定することになるのか、県を通じて国に問い合わせをしているところですので、それぞれの時期については、現段階では示すことができませんが、市にとっても喫緊の問題ですので、時期を失しないよう対応していきます。
小笠原寿 議員(緑風・公明)
(順位:1-5)
まちづくり行政について
定住促進策について
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空き家対策について
「北秋田市移住者住宅支援事業」において、定住を目的として住宅を取得した市外からの転入者に対し、取得に要した費用の10分の2以内で、65万円を上限に住宅購入費助成金を交付することとしています。また、市内在住の空き家購入者に対する補助制度の拡充については、4月から実施している「空き家バンク」制度への登録や利用状況の動向を踏まえて検討していきたい。
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若者の定住策について
昨年6月に内閣府が行った世論調査によると、都市部に住む20歳代の約4割が「農山漁村への定住願望がある」と回答しています。この結果は、平成17年度に行われた同調査の結果と比べると約1.5倍に増えており、国民の価値観の変化が、その背景にあるものと推測しています。一方で、農山漁村への定住に必要な条件として、医療機関の存在が68%、生活が維持できる仕事が61.6%と上位に挙がっており、当市においては、生活が維持できる仕事をどのように確保するかが課題となっています。雇用の創出や就業支援については、既に定住促進基本方針で各種事業に取り組んでいますが、さらに地方版総合戦略の策定において移住・定住対策の議論を深めながら、効果が高いと思われる施策については財源を確保のうえ、速やかに実施していきたい。
社会整備について
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ループバスの運行について
循環バス、特に定額料金制の循環バスについては、人口密集地を運行することにより、効率的かつ利便性の高い運用が可能になるものと理解しており、当市においては、鷹ノ巣駅、鷹巣体育館、ショッピングモールなどの市街地外延を結ぶ路線が適当ではないかと考えています。バス路線の新設については、運転士が不足していることからもバス路線の再編を伴うことになりますが、高齢化の進展に伴う交通弱者の増加に対処することは、これからの重要な行政課題と認識していますので、大館市において循環バスの運行実績を持つバス事業者の意見を踏まえ、検討していきます。
人口減少歯止め策について
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官製キューピットについて
5月26日に行われた「秋田県・市町村協働政策会議」において、県が実施している結婚支援についての質疑が交わされ、知事からは「県の結婚支援事業への登録者情報に関して、市町村から提供要望があったとしても、個人情報保護に関わることは、本人の同意なしにお知らせすることが困難である」との発言がありました。現在、過疎地の自治体を中心として、結婚サポーターが設置されていますが、結婚サポーターの役割は出会いイベントの企画や運営支援であり、個人情報保護の観点からも、結婚サポーターが仲人のようにカップルの誕生から結婚まで関わることは、現実的に難しいのではないかと考えています。行政が行う結婚支援の特徴は「民間のサービスより安価であること」「公的機関が行うことで安心感・信頼感があること」であり、当市においても、平成19年度に少子化対策について話し合う「北秋田市コウノトリ委員会」を設置し、北欧の杜公園や秋田内陸線、大館能代空港、あるいは交流センターを会場に、出会いの場をセッティングしてきましたが、何組かのカップルは誕生するものの、結婚まで至ったのは1組でした。参加者も年々減少傾向にあり、平成24年度をもって休止していますが、行政の結婚支援は出会いの機会を増やすことに尽きるのではないかと考えていますので、県が実施している取組やイベントなどへの情報提供を継続していきたい。