2015年06月28日
コンテンツ番号6326
在宅医療と介護の連携について認識を深める
北秋田市地域医療連携センター運営協議会(会長 神谷彰北秋田市民病院院長)主催の「在宅医療・介護研修会」が、6月28日(日)に北秋田市交流センターで開催されました。
北秋田市地域医療連携センター運営協議会は、平成23年度より、北秋田地域における在宅医療推進のため、北秋田市地域医療センターの連携拠点として、在宅医療体系を構築することを目的に設置されました。そのなかの活動として研修会を開催しています。今回の研修会には、市民や関係者約100人が出席し、在宅医療と介護のかかわりについて認識を深めました。
はじめに、神谷会長が「家族の在り方、地域社会の家庭の在り方が変わっていくなかで、がんを抱えながら生活している方が地域のなかで孤独にならずに自分らしく生活し、また、最後を迎えても人間として尊厳のある暮らしができるようになってほしいと思っています。今回、講師にお迎えした秋山先生は、東京の高齢化率50%を超える団地の商店街で一人暮らしのがん患者の方をケアしてこられました。秋田よりもいろいろな意味で困難な場所で活動してこられた秋山先生のお話しは、この地域のがん患者の方、医療・介護関係者、行政、住民の方が、どのようなことができるのかを示唆してくれると思います」とあいさつしました。
つづいて、白十字訪問看護ステーション統括所長でNPO法人ホームホスピス秋田理事長などを務める秋山正子(まさこ)さんが「がんと共に生きることを応援する~どんな時でも命は輝く~」と題して講演しました。
秋山さんは、「市谷のマザー・テレサ」ともいわれ、2010年3月にNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に訪問看護師秋山正子として取り上げられました。イギリスのマギーズセンターに出会い、がん患者と家族のための新しい相談支援の形を模索。現在、maggie’s Tokyo projectの共同代表を務めています。2011年、高齢化の進む団地に「暮らしの保健室」を開設。住民の健康や介護に関する相談に応じ、地域医療連携にも関与されています。その模様は、2014年9月、NHKスペシャルにて「新宿“人情”保健室」として放送されました。
秋山さんは、「最近のがん治療の動向としては、外来期間が長くなっている、情報が多すぎて迷う、ということがあります。家で過ごしたい人が増えているが、家で過ごすことに不安を持っている人が多い。在宅で過ごす時に、緊急時を含めて具体的な支援をしてくれる医師や訪問看護につながるようにしましょう(病院の窓口から紹介してもらいましょう)。家で過ごすにはどうしたらよいのか?という問題について、ケアマネジャーを含めて相談しながら一人一人に合った方法を一緒に工夫することが大事です。相談支援の窓口に早く何らかの形でつながる、それが早道です。最後まで住み慣れた家や地域で暮らし続けるためにネットワークを広げましょう」などと述べました。
このあと、秋山さんと秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻教授の中村順子(よりこ)さんが出席者からの質問に答える形でフリートークを行いました。
今回の研修会でコーディネーターを務める中村さんは、秋田大学に設置された地域包括ケア・介護予防研修センター長も務めており、NPO法人ホームホスピス秋田副理事長として活動するなど地域包括システムの構築のため、だれもが幸せに自分らしく暮らせるまちづくりを目指し、様々な活動を行っています。フリートークでは、秋山さんとともに在宅医療と介護の在り方を検討しました。
最後に、北秋田市の虻川副市長が「超高齢化社会が間もなく訪れますが、そうした中において、いかに在宅における医療と介護の連携が重要かということを改めて認識させられました。できれば来年には、北秋田市にも「暮らしの保健室北秋田分所」を作るような方向で検討いただきたいと思います」とあいさつを述べ、閉会しました。