2016年10月16日
コンテンツ番号5835
勇壮な舞が観客を魅了
(2016年10月16日)
国重要無形民俗文化財に指定されている民俗芸能「根子番楽」の特別公演が、10月16日(日)に阿仁根子の根子番楽伝承館で行われました。根子番楽保存会(佐藤昭夫会長)の会員が勇壮な舞を披露し、詰めかけた観客を魅了しました。
根子番楽は古くから同地区に伝えられ、現在は根子番楽保存会や子ども会によって保存・継承されている民俗芸能。古来の神楽や能楽に起源を持つともいわれ、歴史的・芸術的に価値の高いことから、昭和39年(11月17日)には秋田県無形民俗文化財に、平成16年(2月8日)には国重要無形民俗文化財に指定されています。
根子番楽は毎年8月14日のお盆と、9月12日(現在は9月12日に近い日曜日)の根子神社祭典の際に根子番楽保存会により公開されていましたが、定期公演以外に公演の機会を設け、多くの人に鑑賞してもらおうと、北秋田市の市民提案型まちづくり事業の採択を受け、根子番楽後援会(佐藤恭一代表)が特別公演を主催しました。特別公演は、今年から6月と10月に開催されています。
この日の特別公演には、同地区の住民のほか、市内外から郷土芸能ファンが大勢訪れ、会場は250人余りの観客で埋まりました。
開演は午後1時。舞台の両脇に控えた笛と太鼓、鉦などの軽快なお囃子に乗って小学生による舞「露払い」から始まりました。このあとは、能のように面を付けた演じ手が天地長久を祈って舞う「翁舞」、狂言のようにコミカルなしぐさの「三番叟」、牛若と天狗の兵法比べを表すという勇壮活発な「鞍馬」など、この日は7つの演目が次々と披露され、観客は独特の小気味よいテンポで演じられる舞の数々に惜しみない拍手を送っていました。
番楽はもともと神楽の一種で、成人の儀式が転化したものといわれ、能楽の起源である「猿楽」とともに歴史を研究する上で貴重な民俗芸能といわれています。根子という山間へき地で伝承されてきたこの芸能には、土俗の文化である「マタギ」の血と勇壮な武士の面影が伝えられており、地域の財産として大切に伝えていきたいものです。