2016年10月27日
コンテンツ番号5786
元オリンピック選手から3つの精神を学ぶ
(2016年10月27日)
JOCオリンピック教室が、10月27日(木)に合川中学校で行われ、生徒たちは元オリンピック選手と直接交流しながら、オリンピックの精神を学びました。
JOCオリンピック教室は、オリンピアン(オリンピック出場経験アスリート)が教師役となり、自身のさまざまな経験を通して感じた「オリンピックバリュー(価値)」などを多くの人に伝えることで、アスリートはもちろん、子ども達の日常の生活にも生かしてもらうため、日本オリンピック委員会(JOC)が主催しています。
今回、教師役を務めたのは、2006年のトリノオリンピックでスキーフリースタイルの一つ「エアリアル※」に出場した逸見佳代(へんみ かよ)さん。
※エアリアル…斜面を滑って助走をつけ、ジャンプ台から空中に飛び上がり、宙返りなどをして着地するまでの演技を競う競技
逸見さんは、中学校2年生の時にエアリアル競技に興味を持ち、5歳から始めていた体操から転向。現役時代はけがに悩まされることが多く、1997年長野オリンピックは代表に内定しながらも大会前にけがをして出場を辞退し、2002年ソルトレイクシティオリンピックでは代表団に加わるものの公式練習でけがをして出場を見合わせました。しかし、この2度の挫折を経験しながらも夢を追い続け、2006年トリノオリンピックで8年越しに念願の大舞台に立ちました。
なお、逸見さんはオリンピックに出場した同年に現役を引退し、現在は全日本スキー連盟エアリアルコーチとして選手の育成と競技の普及に努められています。
この日の教室には、合川中学校の2年生41人が参加し、1時間目に運動、2時間目に座学の授業が行われました。
1時間目の体育館で行われた運動の授業では、3チームの対抗戦で馬跳びや大縄跳びなどを実施し、このうちの大縄跳びでは、ただ跳ぶだけではなく、いかに跳ぶ回数を増やすかをチームで話し合う時間が設けられ、生徒たちは1回の挑戦が終わるごとに「縄の長さを短くしてみては」、「跳びやすいようにゆっくりとまわしてみては」などのアイデアを出し合うなど、チーム全員で一緒に考え、協力しながら実践していました。
2時間目は教室に場所を移して座学が行われ、「エクセレンス(頑張る心)」、「フレンドシップ(仲間)」、「リスペクト(感謝の気持ち)」の3つの「オリンピックバリュー」について、逸見さんは自身の経験を交えながら生徒たちに説明したほか、1時間目での運動を通した生徒たちにとってのオリンピックバリューをグループで出し合いました。
このなかで逸見さんは「長野オリンピックをけがで出場できなかった時はあきらめがついたが、ソルトレークの時は両親や知人も応援に駆けつけてくれた中で出場できず、『またか』という思いと共に『もうダメだ』という思いがあった。あきらめずに続け、26歳で初めて夢をかなえることができ、本当に良かったと思っている」などと、自身の経験をもとに『エクセレンス』を説明しました。
また、『リスペクト』については「今、コーチをしていて、大会では雪温や気温、風を計算しながら、選手のスタート位置などを決めている。エアリアルはジャンプをする時のスピードが大切で、速すぎても遅すぎても失敗するのでスタート位置が重要。オリンピック出場が決まる大事な試合で、気象条件が難しかったが、通常は有り得ない4m下からのスタートを指示したことがあった。しかし、結果はスピードが速く失敗に。もっと下からのスタートが必要であった。私は選手に『力になれなくてごめん』と言ったとき、選手が『ずっと信頼しているし、この状況でのベストの位置だったと思っている』と言ってくれたことを感謝しているし、その人を尊敬している」などと話し、生徒たちは逸見さんの体験談に耳を傾けながら、3つの「オリンピックバリュー」について理解を深めていました。