2016年09月13日
コンテンツ番号5717
市学校再編整備計画などについて4議員が一般質問
平成28年北秋田市議会9月定例会の本会議が、9月13日(火)に議事堂で再開され、4議員が「小中学校再編整備計画」や「介護保険制度」などの事項について一般質問を行いました。
一般質問のなかで、北秋田市学校再編整備計画については「小中一貫教育(義務教育学校)を実施しないと解釈して良いか。統合して長距離通学をさせるよりは、複式学級も視野に入れた方が良いのでは」などの質問があり、三澤教育長は「義務教育学校は、運営の難しさと教育効果を考えれば、今後の再編計画の中で行うことは得策ではないと判断している。複式学級は指導方法に課題があり、現在の高い学力水準を維持することが難しいことから、子どもたちの教育の平等性を保障するためにも考えていない」などと答弁。
また、介護保険制度については「介護保険の自己負担割合が増えるなど、介護医療が厳しくなる方向にある。グループホームは所得による軽減制度もないので、所得の低い方でも利用できるよう、入所費の補助を行えないか」との質問があり、質問に対して津谷市長は「グループホームへの入所が必要なものの支払が困難な方については、生活保護担当と連携して対応しているが、今後、益々認知症への対策が必要となると考える。補助制度の検討も含め、関係機関と連携して対応していきたい」などと、新たな取り組みに意欲をみせました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
福岡由已 議員(無会派) 順位:1-1
1 北秋田市学校再編整備計画について
①北秋田市が合併以降に統廃合した学校の検証について
統廃合にあたっては、小学校再編整備計画に基づき、地域住民や保護者等への説明による理解を図り、教育施設・設備の整備、通学路の整備や登下校の輸送、地域と連携した安全対策など、様々な教育環境の整備を行いながら進めてきており、統合により学校が活性化し、子どもたちは充実した学校生活を送り、保護者や地域からも統廃合や環境整備についての苦情もない。
行政としても統廃合については「問題もなく良好な結果であった」として評価しており、保護者や地域住民に対するアンケート調査等による検証は特に行っていないが、統合については、何より児童の反応や感想が大事と考えていることから、平成27年度末に合川小学校の4年生から6年生児童のアンケート調査を実施している。今後も統合校の児童生徒のアンケート調査を実施し、データを積み重ね検証していきたい。
②北秋田市小中学校適正規模再編プランについて
1)小中一貫教育を実施しないことについて
小学校6年と中学校3年の合計9年間の義務教育を一貫して行う小中一貫校は、学校教育法の改正により今年4月から正式な名称として「義務教育学校」となり、設置については各自治体で決めることができるとしている。
義務教育学校はこれまでの学年ごとの学習内容も、地域の事情に応じて変更することが可能だが、それに対応した教科書もないことから指導は大変難しく、むしろ混乱をきたすことも予想される。始まったばかりでその成果については詳しく検証されていないが、中一ギャップの解消、9年間の成長を見通した指導というメリットがある一方で、小中両方の免許を持った教員の人事配置の難しさや、小中学校を同時にうまく指導できるかといった問題もあり、運営の難しさと教育効果を考えれば、義務教育学校を今後の再編計画の中で行うことは得策ではないと判断している。
2)学校規模の適正化と複式学級の解消について
複式学級は2つの学年が1学級として設置され、同じ時間の授業で1人の学級担任が2つの学年を同時に指導することになり、その指導の難しさは相当のものがある。複式学級は現在の高い学力水準を維持することが難しいため、子どもたちの教育の平等性を保障するためにも、プランに複式学級の選択肢を入れることは考えていない。
3)プラン策定まで十分時間を保障することについて
再編プラン案は、市民を代表する地域代表、保育園・小学校・中学校関係者代表、有識者の17人で構成する検討委員会が、2回の検討委員会を開催し、市民に提案する再編プラン案を検討委員会の総意として策定したもの。委員の中には独自にアンケート調査を実施したり、地域住民の意見を聞いたりして、検討委員会に臨む方もおり、検討委員会では個々の学校統合案件について十分な熟議をした上で策定した。
今後は再編プラン案を該当地域での説明会や市広報などで市民に知っていただき、幅広くパブリックコメントを募集し、再度検討委員会で個々の統合案件について協議することになってる。地域説明会は該当地区で1回行う予定だが、地域から再度説明会の要請があれば応じたい。
4)廃校舎の処分等の計画について
これまでの統合による廃校舎のほとんどは耐震問題もあり、その後の活用はできなかったが、今後の廃校舎は耐震の問題がない。今後、企業や各種団体による活用、地域での活用、市行政での活用、災害避難場所としての活用など、廃校になる学校個々に考えていく必要があるが、再編プランに個々の学校についての具体的な活用計画を載せることは難しいため、総論として「活用の在り方・方向性」を載せたい。
板垣 淳 議員(共産党議員団) 順位:1-2
1 介護保険制度について
①施設入所料金に補助できないか
介護保険制度における特別養護老人ホーム及び老人保健施設については、入所者の同居家族と配偶者の課税状況、入所者と配偶者の預貯金額に応じて、食費と居住費を軽減する制度があり、軽減しても支払が困難な入所希望者の方については、生活保護担当と連携して対応している。グループホームについては、介護保険制度の施設ではなく、在宅としての位置づけとなり、居住費及び食費は各施設で自由に設定され、軽減制度は設けられていない。
現在、グループホームへの入所が必要なものの、利用料の支払が困難な方については、生活保護担当と連携して対応しているが、今後は益々認知症への対策が必要となると考えられることから、補助制度の検討も含め関係機関と連携して対応していきたい。
2 国民健康保険制度について
①国保税値上げ回避を
国保特別会計の決算は、平成22年度以降赤字が続き、平成27年度決算で初めて財政調整基金からの繰り入れを行ったほか、平成28年度の当初予算でも基金の繰り入れを計上し、繰り入れ後の残高は3400万円。平成27年度までの決算を分析すると、保険給付費は高齢化を背景とした医療費の増加や高額な新薬治療が進むことで、増加が見込まれており、一方で国保税は、被保険者数の減少による税収の減少が見込まれており、保険者である市としては、歳入の不足を補うため、平成29年度は国保税率の改定を行わざるを得ないと考えている。
現在、市では市民の健康づくりのため、様々な健康増進事業や各種検診事業などに取り組んでいるが、今後より一層の充実を図り、医療給付費の抑制につなげ、国保制度の安定した運営に努めていきたい。
②都道府県化の課題と対策は
平成30年度からの制度改正は、国民健康保険法が制定されてから、最大の改革といわれており、県が国保運営の責任主体となり、これまで各市町村が支払いを行っていた「保険給付費」の支払いを行うことになる。県は必要となる「保険給付費」に対応するため、市町村ごとに医療費水準や所得水準で按分した「国保事業費納付金」を決定し、「国保事業費納付金」に対応する市町村ごとの「標準保険税率」を公表することになっており、市町村はその税率を参考にして「国保事業費納付金」を県に納付できるよう、独自の保険税率を設定して国保税の徴収を行うことになる。
制度改正の課題としては、現在の税率とどの程度かい離するのかという点、また、税収が「国保事業費納付金」に満たない場合には、不足分を財政調整基金の取り崩しによって対応する必要があるので、平成30年度までに相応の財政調整基金を確保することが求められる。
「国保事業費納付金」の算定には、医療費水準が反映されることになっているので、平成30年度を迎える前から保健事業の充実などにより、医療費を抑制していくことで、当市における被保険者の保険税負担の軽減につながるものと考えている。
3 指定管理施設のあり方について
①条例通りに、四季美館で観光案内業務を
北秋田市観光物産協会の事務所移転に伴い、四季美館の事務所には観光案内所という看板等はなくなったが、玄関脇に設置している道路情報用端末機や、森吉山周辺情報の案内板により旬な情報発信を行うとともに、四季美館を訪れて観光案内を求める方に対しては指定管理者が対応してきた。指定管理者選定委員会のプレゼンテーションの際には、指定管理者から「ライセンス講習の受講者1人の配置」の提案をいただいていたが、指定管理を行う会社の人事配置等の関係により、物販を行いながら観光案内を行っている状況にある。
繁忙期への対応や観光客のニーズに応じた情報提供等が十分にできているかを検証し、必要に応じて指定管理者に対して指導を行いながら、総合的に見た当市の観光案内の充実を図っていきたい。
長崎克彦 議員(清和会)順位:1-3
1 中心市街地のまちづくりについて
①鷹ノ巣駅、駅前、銀座通りの活性化と、空き店舗対策について
鷹ノ巣駅の無人化による利用時間外の待合室については、内陸線鷹巣駅やコムコムの活用が考えられるが、議員も述べられたように鷹ノ巣駅は北秋田市の玄関口であることから、市としてもJRに改善に向けて要望していく。
中心市街地の賑わいの再生と中小小売商業の活性化を図るため、北秋田市中心市街地賑わい再生支援事業を実施し、活性化に取り組んでおり、「キラキラフェスティバル」や「大綱引き大会」、「軽トラ市」に加え、鷹巣駅前の商店主の方々の自主的な企画による「鷹巣駅横屋台祭り」、そして、今年オープンしたコムコムを活用した新たなる企画も計画中ということであり、中心市街地活性化に向けた、新たな動きも出てきている。また、空き店舗については、平成23年度から平成27年度までの間に13件の新規店舗が進出し、今年度も1件が空き店舗を活用して開店しており、少しずつだが空き店舗の解消につながっているものと確信をしている。
今後、コムコムで行われるイベント等の情報を商店街へ提供しながら、周辺商店も一体となった誘客推進を図るとともに、空き店舗の解消に向けた取り組みをさらに推し進め、中心市街地の賑わいづくりに取り組んでいきたい。
2 農業振興について
①農業の制度改正への対応と施策について
米の直接支払制度について、平成27年度の北秋田市の農家への交付額は約1億9100万円、平成28年度は約1億7900万円と見込んでおり、この経営所得安定対策が無くなった場合、米価の大幅な下落対策としてナラシ対策はあるものの、当市の米農家は大きな影響を受けるものと推察している。この代替策として、市が直接的に所得補償を実施することは馴染まないと考えるが、今後の国等の施策を踏まえ市の支援策について検討していきたい。
また、もう一つの米政策として生産調整があるが、平成30年からは国による生産数量の目標を配分しないとしており、過剰な米の生産は米価下落に直結し、米生産農家の経営に大きな影響を及ぼすものと推察されるので、今後は国以外の機関が生産数量目標を示す必要があると考えている。現在、秋田県では県内の市町村と農業再生協議会からの意見を取りまとめているので、生産者等に受け入れられる制度づくりを期待するとともに、市としても関係機関との情報共有に努めていく。
しかし、近年の状況下では、主食用米の生産のみでは農家経営は厳しいと認識しているので、飼料用米や加工用米等の土地利用型作物と、園芸作物等の組み合わせによる複合経営を推進するため、市の重点推奨品目及び奨励品目の生産への支援を行いながら、両JAとの協力により地域農業を守っていかなければならないと考えている。大きな農業制度改革まであと1年となったが、平成30年度の国の政策等の動向を注視しながら、秋田県やJA等の関係機関と連携を密接にし、基盤整備や農地中間管理機構を活用した農地の集積化と法人化による作業の集約及び園芸作物の栽培等を総合的に取り組み、農家経営の安定を推進していきたい。
3 廃校舎の土地管理について
①グラウンド、樹木等の維持管理について
昨年度から、一部の学校のグランドと校地の草刈りを教育委員会の職員で行っていたが、今年閉校になった鷹巣西小学校に関しては、グランドも校地も広大であり、校地の一部については草刈りができなかった。
今年度は教育委員会の職員で対応する計画であり、地元自治会等との協議は行わなかったが、来年度以降も教育委員会の職員だけで対応して行くことは不可能であると思うので、今後は予算措置をお願いして管理に当たっていきたい。なお、予算化にあたっては地元自治会とも相談したいと考えている。
山田博康 議員(清和会)順位:1-4
1 観光施策
①ぶな帯野営場
1)倒壊したり老朽化した建物をどうするのか
2)ぶな林の観光資源としての活用
山田議員ご指摘のとおり、ぶな帯野営場は施設の老朽化による倒壊や、倒木による一部損壊により、数年前から閉鎖しております。今後の方向性につきましては、建物が景観に与える影響と登山者や散策者の危険回避のため、解体する方向で土地所有者である東北森林管理局や県などの関係機関と協議を進めてまいりたいと考えております。なお、森吉山一帯は、ぶなの原生林とそこに生息する希少動物を有する当市における観光振興の重要な資源として、観光メニューに取込みながら様々な事業を展開してまいりました。ぶな林の活用につきましては、これまでに取組んできた森吉山観光施策の成果を精査した上で、近隣の世界自然遺産「白神山地」のぶな林の活用による誘客事例なども参考にしながら、北秋田市の大きな魅力の一つとして発信してまいりたいと考えております。
②伊勢堂岱遺跡
1)世界遺産登録とあわせ観光資源としての取り組み
森吉山周辺を中心とした観光振興を展開するうえで、滞留型の観光施設は必要不可欠と考えている。これまでも内陸線の利活用も含めた森吉山周遊タクシー運行事業を実施しており、今年はJR鷹ノ巣駅から大館能代空港を経由し、大太鼓の館と伊勢堂岱遺跡及び縄文館を巡るコースを増設するなど、旅行者へのきめ細かなサービスが提供できているものと考えている
また、今年4月にオープンした縄文館では、8月末時点で約7000人にご来場いただいており、当市の文化と観光を牽引する新たな施設として位置づけるとともに、観光地としての知名度やブランド価値を向上させ、更なる観光客の増加につなげていきたいと考えている。
伊勢堂岱遺跡については、ボランティアガイドやジュニアボランティアガイド、縄文まつりの開催やカムバック縄文サーモン運動に加え、縄文館周辺の草刈など市民の方々が主体となり熱意を持って活動していただいており、市としても、伊勢堂岱遺跡見学環境整備事業を着実に実施し、世界にも例のない4基の環状列石と白神山地を一望できる壮観な景色、縄文時代を感じさせる環境整備、縄文館の展示物の入れ替えや情報発信により、来場者に「何度でも訪れたい」と思ってもらえるような工夫を重ね、世界文化遺産の登録を目指していく。
なお、縄文館の看板が見えずらいとのご指摘については、高速道路の整備中であり対応が難しいが、道路管理者と協議しながらできる限りの対応をしたい。
2)内陸線小ケ田駅の駅名変更は
鉄道の駅は「町の顔」であり、駅名を決定する場合は最寄りの地区名だけでなく、地域の観光資源や歴史ある地名を考慮するなど、町としてのイメージアップや指定名勝の観光PRを狙うなど、こだわって命名する場合があるが、駅の名称を変更する場合は、鉄道事業法により「鉄道事業者が国土交通大臣に届け出なければならない」と規定されており、駅名標、時刻表、運賃表、乗車券、定期券などのシステムの改修や変更、該当駅名表示板のほか隣接2駅も含めて変更する必要があり、駅名の変更には多額の費用が必要となります。
提案があった小ヶ田駅の駅名変更は、沿線地域の方々の思いにも考慮し、既存の利用者が混乱を来さないように慎重に進めることが必要となりますので、秋田内陸縦貫鉄道株式会社や小ヶ田駅利用者などの地域の意見も伺いながら、遺跡までの誘導やPRなども含めて総合的に勘案し、検討していく。
2 阿仁診療所について
①改築年度はいつを予定しているか
②場所はどうされるのか
今までの経緯を簡単に申し上げると、平成26年5月に「阿仁診療所整備検討委員会」を設置し、同年12月に「現在地での建て替え」という検討結果の報告をいただいたが、3月定例議会で「阿仁庁舎の隣接地への建設」の陳情が採択されている。市としては、どちらも地域の方々のご意見であり、尊重しなければならないと考えており、それぞれにメリット・デメリットがあるが、利用者の安全で安心な医療の提供体制と、医療従事者の最適な医療環境等総合的に判断して決定したいと考えている。
また、財源等については過疎債を予定しており、大型事業のクリーンリサイクルセンター建設が平成29年度で終了するので、平成30年度から実施できるよう検討を重ねていきたい。
3 小中学校適正規模再編プランについて
①統合を計画されている地域住民への説明はいつ頃から行う計画なのか
②少子化という現実はあっても合併前の旧町から学校を消滅させる事は避けるべきではないか
これまで「地域と共に歩む学校づくり」を目指し、各学校で地域との良好な関係を築いてきており、学校が地域の文化の拠点としての役割を果たしてきたことも事実です。そのような経緯により、地域からは「学校がなくなれば地域も衰退する」、「楽しみや心のよりどころがなくなる」などの意見が多くあることも認識している。
しかし、今後の児童生徒数の危機的な減少状況や学校の小規模化、これからの厳しい時代を生き抜く心身ともにたくましい児童生徒の育成、ふるさとの将来を担う子どもたちの育成などを考えたとき、子どもたちは多様な子ども同士の人間関係を経験しながら、幅広い人間力を身に付けていくことが大事であり、これからの学校教育の使命であると考えている。
教育と地域振興は次元が違うはずであり、地域の振興に目を奪われることなく、子どもたちの置かれている状況を考え、子どもたちの未来のために、地域の大人たちがどうしなければならないかを考えてもらいたい。「学校がなくなれば地域が衰退する」と決め付けず、地域で知恵を出し合って、地域維持について行政と共に考えることも必要と思っている。
検討委員会としての再編プラン案の地域への説明は、学校統合該当地域で9月下旬から10月中旬までの期間に行うことにしています。市広報10月1日号でも再編プラン案についてお知らせします。その後約1か月間のパブリックコメントを募集し、その内容と地域説明会で寄せられた意見をもとに、3回目の検討委員会を開催して最終案をまとめたいと考えています。