2016年07月13日
コンテンツ番号5576
「からめ節」から阿仁鉱山を学ぶ
(2016年7月13日)
秋田大学「地(知)の拠点整備事業」ミニフォーラム2016in北秋田が、7月13日(水)に阿仁ふるさと文化センターで行われ、参加者は地域の文化を栄えさせた阿仁鉱山を学びました。
秋田大学「地(知)の拠点整備事業」は、秋田大学と秋田県、事業参画市(北秋田市、横手市、潟上市)の3者が、地域から提案された超高齢社会を見据えた課題について、地域住民と協働で解決に向けた取り組みを進めることを目的としています。
北秋田市では、かつて鉱山で栄えた阿仁の文化を発掘・復活させ、これを核とした文化振興による新たな地域づくりを目指そうと「鉱山の隆盛がもたらした阿仁文化の現代への活用」をテーマとした取り組みが行われており、今回のフォーラムでは、これまでの事業報告と「からめ節」で読み解く阿仁鉱山の絵巻・絵図と題した講演が行われました。
開会にあたり、主催者を代表して虻川広見副市長が「秋田大学と当市は、平成21年に連携協定を結び、翌年には北秋田分校が設立され、大学と地域住民、市が連携し、農業課題の調査研究や内陸線の田んぼアートなど、様々な事業が展開されている。今日は阿仁のいにしえの文化を新たな視点で見ていただき、現代に活用していただきたいと考えている。今後も大学と地域住民、市が連携し、地域の活性化に向け団結して進んでいきたい」などとあいさつを述べました。
このあと、秋田大学北秋田分校の濱田 純・分校長が、当事業の経過を報告。この中で濱田分校長は「これまで阿仁伝承館と異人館を活用した観光を進めてきた。大学では文化を発掘し、学術的な調査の結果を地域に還元しながら観光に役立てるため、これまで4回の特別展を開催しており、市や県はこれを反映させた政策に取り組み、地域の方たちは地域住民がガイドを務める着地型観光の基礎づくりを図ってきた」などと、大学と地域住民、行政がそれぞれの立場で取り組んできたことを紹介。最後に「来年は、地域文化振興による元気な地域づくりのモデルとして、全県フォーラムで北秋田市が発表することになっている。それに向けて皆さんと一緒に頑張っていきたい」などと述べました。
つづいて、秋田大学国際資源学研究科の今井忠男教授が、「『からめ節』で読み解く阿仁鉱山の絵巻・絵図」と題して講演。ここからは、地元阿仁合小学校の3・4年生も参加したため、児童も理解できるよう丁寧な解説を入れながら進められました。
はじめに阿仁鉱山の労働歌である『からめ節』の語源について触れ、鉱山で選鉱作業をする人たちを「砕女(かなめ)」や「洗子(あらいこ)」と呼び、「かなめ」が転じて「からめ」になったのでは、と説明。このあと、秋田大学のホームページに今年の4月から開設された「デジタルギャラリー」を使い、阿仁鉱山の絵巻・絵図と、からめ節の歌詞を照らし合わせながら、当時の阿仁鉱山での作業の様子を解説しました。
講演の中では、からめ節の歌詞の「からめ からめと親父(おやじ)がせめる 何(なん)ぼからんでも からみたてならぬ」について、今井教授は「歌詞の中の親父は親方のことで、昔は子が家業を継ぐことが多く、父親を親父と呼んでいたことから、現在は父親を親父として使われるようになった。『からめ』と呼ばれる鉱石を砕く作業が、いくらやっても終わらない様子を表している」などと説明したほか、「阿仁の二の又 江戸より広い」の歌詞については、「二の又山は、阿仁鉱山の中でも山奥の方にある小さな鉱山。そのような鉱山でも江戸と同じくらい盛んであったという例えとして歌詞にしたものと思われる」などと、当時の様子を推測しました。参加者は、今井教授の講演を熱心に聴き入り、地域の歴史や伝統芸能について理解を深めていました。