2016年02月13日
コンテンツ番号1521
国民一人一人が拉致問題解決への意識の共有を
(2016年2月13日)
拉致問題啓発演劇公演「めぐみへの誓い―奪還―」が、2月13日(土)に北秋田市文化会館で行われ、会場には約500人が来場し、拉致問題への理解を深めました。
この公演は、政府・拉致問題対策本部、秋田県、北秋田市が主催し、政府拉致問題対策本部事務局による行政説明や、拉致被害者家族の体験などをもとにして作られた舞台劇を通して、多くの方々が拉致問題への認識を深め、拉致問題の悲劇を心から理解してもらうことを目的として行われたもので、県内では昨年11月の秋田市に続いて2回目の開催になります。
はじめに主催者を代表して、政府拉致問題対策本部の石川正一郎事務局長があいさつを述べ、秋田県警本部長を務めていた経歴や2年前に内閣審議官に就任したことを紹介し「警察官は、公私や犠牲を問わず犯罪や事故から人々や社会を守る誇り高い仕事だが、拉致問題事務局でこの仕事に携わる皆も同じ気持ち。たいへんな苦労を経て、拉致問題を世論に提示し、政府や社会を動かしてきた被害者家族の思いを原点に、外務省や警察庁、支援くださる各会と連携して問題解決にあたりたいと考えている。この2年間、拉致被害者の奪還を目指して北朝鮮との2国間対話を継続してきたが、北朝鮮は自国の人権を擁護し、国際的孤立の中に閉じこもり、核やミサイル開発を体制存続の道と信じて執念を燃やしている。日本との交渉も途中で迷宮に入れ込ませ、様々な情報操作をし、日本国民に『この努力は無意味』、『交渉より武力』、『何をしている』など、いろいろな思いを持たせることで、団結を弱め、北朝鮮が有利な条件を日本政府から出させようとしているが、政府はそのようなたくらみに戸惑うことは無い。認定の有無を問わず、すべての拉致被害者の安全な帰国を求めることは、国家の熱意であり、そこには日本国民の悲願と総意がある。それを明確に繰り返し示すために今日のような集いは重要です。相手は心の無いロボットではない。核実験やミサイル発射に対する国際批判の中で、政府は冷静に相手の心を読み、交渉を尽くしていく」などと問題解決への決意を述べました。
つづいて、津谷市長は「拉致問題は、国民の安全と生命をおびやかす重大な人権問題であり、絶対に許されない行為である。拉致の可能性が高い特定失踪者は県内に5人おり、平成4年に行方不明になった旧合川町の松橋恵美子さんもその一人。拉致されたご本人やご家族の長年にわたる心の痛み、苦しみは察するに余りあるものであり、一刻も早い解決が必要です。当市では、市役所庁舎に啓発の横断幕を掲げたり、ホームページで情報提供を呼びかけているほか、様々な機会を通して市民の方々に拉致問題への理解を深めていただく取組を進めてきた。また、平成22年には北朝鮮へ向けたラジオ放送に、私自身も出演させていただき松橋恵美子さんをはじめ、拉致被害者の方々へ『皆さんの一刻も早い救出に向け全力を尽くします』、『ふるさとに帰ってくる日を信じて待っていてください』というメッセージを発信しました。皆さんご存知のとおり、北朝鮮のミサイル発射に対する国際的な非難が高まる中、先日、北朝鮮が拉致問題の再調査中止を一方的に表明したが、私たち日本人はこれに動ずることなく、一人一人がすべての拉致被害者を取り戻すという意識を共有し、政府を強力に後押ししていくことが大切。今後も県や関係団体との連携を図り、解決に向けた機運をより一層高めていきたい」などとあいさつを述べました。
このあと、来賓を代表して拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表があいさつを述べ、「30年ほど前、この北秋田も含め県北地区で仕事をしていたことがあり、懐かしく思っている。拉致問題は国民の皆さんの啓発により、世論も高まり、政府でも問題解決は最重要課題としている。北朝鮮が拉致を認めて13年、5人の方が帰国したが、その時はものすごい経済制裁を加えた背景があった。北朝鮮は、自分たちが困らないと言うことを聞かない。国民全員で怒りを示し、『今回の日本は違う』、『もうだませない』と思わせる行動が必要。今日は演劇などを通じ、拉致というむごい仕打ちを実感していただいて、こういったことは有ってはならない、拉致被害者を一刻も早く救わなければならないということを広く伝えてもらいたい」などと訴え、最後に「妹の田口八重子も22歳で拉致され今年で60歳、当時1歳だった息子も39歳になるが母親の温もりを知らずに育った。皆さんのご家族が万が一、連れ去られたらどうでしょう。国民一人一人が自分のことという思いで、拉致問題解決にご協力をいただきたい」などと切実な思いを語りました。
主催者及び来賓のあいさつのあと、内閣官房拉致問題対策本部の中間(なかま)企画官が、政府の取組などについて説明し、そのあと演劇が公演されました。
この演劇は、劇団夜想会(やそうかい)主宰の野伏翔さんが原作・脚本・演出を手がけ、拉致被害者である横田めぐみさんのご家族の体験や、北朝鮮から脱北した方々の証言をもとに描かれた物語。
出演した原田大二郎さんをはじめとする実力派の俳優は、迫真の演技で拉致の卑劣さや家族の絆の強さを表現し、来場者は日本、そして身近で起きている事件であることを改めて実感するとともに、拉致問題への関心を高めました。