2016年02月21日
コンテンツ番号1493
燃え盛るご神体に五穀豊穣や無病息災やを祈願
(2016年2月21日)
七日市・葛黒(くぞぐろ)集落に伝わる小正月行事「火まつりかまくら」が、2月21日(日)に葛黒集落で行われ、多くの見物人が訪れました。
この行事は、高さ7、8メートルほどの栗の木を雪の厚い田んぼに立て、それに稲わらや豆がらを巻き付けて火を放ち、燃え上がった木を火の神「不動尊」になぞらえて無病息災や無火災、五穀豊穣を祈願するもので、燃え盛るご神体の周りで子どもたちが「おーい、かまくらのごんごろー」と叫んで厄払いをします。
火まつりかまくらは、今から300年近く前に始まったと言われており、葛黒では代々小正月行事として旧暦1月14日の夜に行われていました。ご神体として用いる適度な高さの木が少なくなったことなどから、平成11年に実施されたのを最後に途絶えていましたが、七日市の地域活性化団体「おさるべ元気くらぶ」(長岐直介代表)が葛黒自治会に働きかけ、平成26年に15年ぶりに復活しました。
この行事は、北秋田市まちづくり補助事業と平成27年度文化芸術振興費補助金(文化遺産を活かした地域活性化事業)の助成を受け、葛黒火まつりかまくら実行委員会(実行委員長=堀部明博葛黒自治会長)の主催で行われました。
当日は、雨や吹雪となるあいにくの天候の中、地元の人たちが朝から近くの山で高さ約10メートルの栗の木を切り出し、鷹巣南小・中学校の生徒、ボランティアも加わり、作業が行われました。ロープで四方から引いて田んぼにご神木を直立させる「起ち上げ」の作業では、先端に付けた稲わらなどが雨でぬれて重くなったこともあり、神木が折れるアクシデントに見舞われ、急きょ先端の稲わらなどを外し、神木の根元に積み上げて対応しました。
また、会場では、秋田北鷹高校家庭クラブによる「バター餅スープ」の試食会、地元葛黒産の竹で作った「竹炭」の販売、甘酒のサービスなども行われました。
辺りが暮れた午後6時、会場内に作られたミニかまくらの火がやさしい光を放ち、幻想的な雰囲気に包まれる中、開会セレモニーで堀部実行委員長が「雨で会場がぬかるみ、開催を断念しなければならないのではと思ったが、皆さんのおかげで、このように盛大に行うことができた。集落だけでは人数が少ないので、皆さんの力が本当に頼り。これからも支援よろしくお願いします」とあいさつしました。
つづいて、来賓の津谷市長は「火まつりかまくらは、15年ぶりの復活から今年で3年目を迎えた伝統行事です。多くの方々のご協力に感謝申し上げ、皆さんがこうして地域を盛り上げてくれることは、これこそ地方創生の原点だと思います。この地方創生の原点が葛黒地域からスタートしていることは大変ありがたい」などとあいさつをしました。
この後、堀部実行委員長、津谷市長、地元県議会議員、秋田北鷹高校、鷹巣南小・中学校の代表児童ら12人がご神木の前に並び、見物人の「おーい、かまくらの権五郎ー」の叫び声を合図に点火しました。稲わらは水分を含み、炎は例年のように高くは燃え上がらなかったものの、見物人たちは大きな声で「おーい、かまくらの権五郎ー」と何度も叫び、今年1年間の五穀豊穣や無病息災を祈願していました。
焼かれたご神木を持ち帰り、祀っておくと無火災のお守りになると言われており、最後に倒されたご神木はチェーンソーで切り分けられ、来場者に配られました。