2017年10月17日
コンテンツ番号2059
阿仁鉱山文化の広がりを学ぶ
(2017年10月17日)
秋田大学「地(知)の拠点整備事業」ミニフォーラム2017in北秋田が、10月17日(火)に市民ふれあいプラザで行われ、参加者が阿仁鉱山文化の広がりついて学びました。
秋田大学「地(知)の拠点整備事業」は、秋田大学と秋田県、事業参画市(北秋田市、横手市、潟上市)の3者が、高齢社会における乗り越えるべき5つの課題について、連携を密にした共同作業の中で解決を図ることを目的とした事業です。北秋田市では、かつて鉱山で栄えた阿仁の文化を発掘・復活させ、これを核とした文化振興による新たな地域づくりを目指そうと「鉱山の隆盛がもたらした阿仁文化の現代への活用」をテーマとした取り組みが行われており、今回のフォーラムでは「阿仁鉱山文化の広がり~鉱山技術と経済が残したもの」、「阿仁地区観光ガイドのこれまでの取組み」と題した講演が行われました。
開会にあたり、主催者を代表して虻川副市長が「この秋田大学と連携した地(知)の拠点整備事業は、平成25年度から始まった5か年事業で、今回が最後のフォーラムとなる。大学には5年間で阿仁文化の歴史を図録等で整備してもらい、心から感謝を申し上げる。最近の阿仁地区は、駅前周辺を中心ににぎわいが出てきた。若い方が駅前にカフェのような気軽に立ち寄れるスペース開設したり、また近くの専念寺では、振り向き如来像や迫力のある天井絵を観ることができる。今後とも秋田大学や地域の皆さんの協力を得ながら、阿仁地域の活性化に取り組んでいきたい」などとあいさつを述べました。
このあと、秋田大学鉱業博物館の今井忠男館長が「阿仁鉱山文化の広がり~鉱山技術と経済が残したもの」と題して講演。はじめに、県北地域における阿仁鉱山経済の広がりについて「阿仁鉱山は、金・銀・銅すべてが産出される珍しい鉱山で、産出された鉱石を舟で二ツ井の加護山製錬所や能代に運ぶことで経済が潤っていた。阿仁の銅産出は、時代により変動はあるが年500トンぐらいの生産量があった。その価値は秋田藩の税収と同じぐらいの経済規模で、当時は秋田藩と同等の経済を北秋田地域で動かしていたことになる」などと阿仁鉱山の経済効果を解説しました。
また、「明治時代の後半には、現在の内陸線となる鉄道が敷かれたことで、これまで繁栄していた舟輸送の経済効果がなくなってしまった。近代化したことで、阿仁地域が受ける恩恵が縮小してしまった」などと説明しました。
つづいて、郷土歴史研究家の戸島喬(たかし)さんが「阿仁地区観光ガイドのこれまでの取組み」と題して講演。戸嶋さんは、秋田内陸線と阿仁合駅周辺の活性化を図るため「阿仁合ぶらぶらガイド」として5年前から4人の構成員で活動中です。
講演の中で戸嶋さんは「今井忠男館長のギャラリートークや筑波大学の加藤衛拡(もりひろ)教授の古文書研究、自分たちが子どもの頃に地域の方々から聞いた話がガイド案内の基礎となっている。お客さんの時間や興味に合わせて、数種類の見どころマップからコースを選んでもらい、多様なニーズに対応している。案内の中心は貴重な異人館、お寺、町並みですが、最近は近平商店の『こけし』、湊商店の『内蔵』、宮越家の一部公開等、町の人たちの協力も得られつつある」などとガイド案内活動が充実してきている現状を伝えました。
最後に、秋田大学北秋田分校の濱田純分校長をコーディネーターに、今井館長、戸嶋さん、虻川副市長によるパネルデイスカッションが行われ、今後の事業の方向性について意見を交わしました。
このうち、虻川副市長は「今年度、伝承館の空調等を全面的に改修した。これまでは、湿気等の問題で貴重な文献や古文書等が展示できない状態だったが、それが解消できる見込みとなった。今後は、今井館長の協力を得て貴重な資料等の展示を実現したい。また、これから阿仁合駅舎の改修に着手する。待合室や食堂、トイレなどを改修し、快適な駅舎の空間をつくるよう進めているので期待してもらいたい。よく大きくなければできないとか、人口が多くないとできないと言われるが、逆も真なりで、小さくなければできないことも必ずあるはず、今後とも秋田大学と連携しながら、いろいろなことにチャレンジしていきたい」などと述べました。