2020年03月25日
コンテンツ番号10265
第43回消防職員意見発表秋田県大会が2月7日(金)に秋田市のホテルメトロポリタン秋田で行なわれ、全県の消防本部代表の13名が日頃の職務の課題について意見を発表しました。当消防本部からは齊藤卓弥消防士が出場し、「命を救う119番」について意見発表し、見事優秀賞を受賞しました。秋田県大会で発表した内容は以下のとおりです。
「命を救う119番」
「消防119番です。火事ですか、救急ですか。」
「救急です。男の人が外で倒れています。お願いします。早く来てください。」
119番通報は、通報者からの助けを求める声です。通信指令員は、通報者と最初に接する窓口であり、あらゆる119番通報に、適正な対応が求められます。通報者の中で、落ち着いて話をされる方は稀であり、多くの方が緊張し興奮した状態で、目の前の状況を伝えるのが精いっぱいです。その中で、迅速な出動指令を出すことが、市民の命を救うために、通信指令員が行える救命の第一歩となります。特に、相手に応急処置などを伝える口頭指導は、傷病者の生死を左右する大切な任務です。119番入電から、救命活動は始まっているのです。
私は関西出身であり、現在は、専従通信指令員として勤務しています。通報者が東北弁で、早口で言われた際は、言葉が分からず中々聞き取れない苦労もあります。更に、東京オリンピックに向けて、外国人観光客の増加に伴い、多言語対応もより一層必要となります。その中で、通信指令員として更なる高みを目指すにはどうすればよいか。通報者を安心させ、傷病者の命を1分1秒でも早く救うには、どうすればよいか。通信指令員の大きな課題です。
そこで私は提案します。通信指令員としての対応力、口頭指導技術を更に磨き、より迅速な通信指令を目指すために、各消防本部合同の、通信指令競技大会を開催してはどうでしょうか。競技大会の内容として、火災、救急、救助事案の受信時の対応力と、心肺蘇生法を始めとする各種口頭指導の技術力を評価します。いかに正確に聴取し、どれだけ的確な指示を出せるかを競い合います。競技大会を通じて、他の消防本部の対応力、口頭指導技術を学ぶことで、全体を通して検討し迅速な救命処置により、通報者、要救助者を、安心させることにつながるのではないでしょうか。
更に、競技大会の部門には、専従指令員の部門と、専従指令員と署員合同の部門も開催します。署員と合同で行うことにより、署員全体の士気の向上につながり、現場からの「あの時こんな情報が欲しかったです、実際の現場はこうでした。」という声を聞くことで、現場からの視点も把握することができます。そして、出動隊とのコミュニケーションが取れれば、より効果的な部隊運用が期待でき、傷病者の命を、1分1秒でも早く救うことができます。
災害現場で迅速に対応する為には、通報者から必要な情報を把握することが重要であり、その責務を担っているのが通信指令員です。競技大会を通じてあらゆる119番通報への対応力と自信、そして通信指令員の武器である、助けを求める声を聞き逃さない耳と、相手の緊張を解す為の優しい声と心を磨き上げるのです。
助けを求めるすべての通報者にいち早く手を差し伸べ 、言葉に命を吹き込み、通報者、要救助者に対し安心感を与え言葉で命を繋ぐ。傷病者の命を救う。1分1秒でも早く。その強い使命感と責任を胸に。 命を救う119番である為に。