2016年01月15日
コンテンツ番号1214
稲作の作柄を占い豊作を祈願
(2016年1月15日)
今年の稲作の豊凶を占う小正月行事の雪中田植えが、1月15日(金)に大太鼓の館前で行われ、JA鷹巣町などの関係者約50人が田の神にお神酒を供え、豊作を祈願しました。
雪中田植えは、農家が一年の仕事始めの儀式として1.8m四方の水田に見立てた雪の田んぼを作り、稲わらや豆がらを束ねた「稲」を植え、一年の作柄を占う民俗行事で庭田植えとも呼ばれています。
かつては、干ばつや台風などの「邪気」を祓い、神聖な田の神に、五穀豊穣を祈る大切な儀式で、秋田県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残していますが、現在では綴子のほか、湯沢大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
綴子地区に伝わる雪中田植えも、一度途絶えたものを昭和58年、稲作作りに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎さん(綴子上町)によって復活されました。昭和61年に高橋さんが亡くなって、また一時途絶えましたが、昭和63年より地域の農業後継者である旧綴子農協青年部が意思を継いで「再復活」、現在はJA鷹巣町青年部(岩谷政崇部長)が継承し、今日に至っています。
大太鼓の館前に特設された雪田の前では、はじめに岩谷青年部長(35歳)が「昨年の作柄はやや良。今年もそうなってほしいが、米価と農業情勢は厳しく、予想できない状況。今一度原点に戻り、農作業をしたいと思う」と主催者あいさつ。
つづいて、斎藤組合長が「今年も昨年以上の作柄で、大きな災害がなく、平穏な一年であることを祈りながら雪中田植えを見守りたい」と述べました。
この後の儀式では、昨年までのJA鷹巣町青年部役員の奈良田大輔さんに代わり、今年から岩谷部長が田植え人を務め、けら、菅笠姿の昔ながらの装いで30cm間隔で4条に4株ずつ計16束の「苗」を丁寧に植え付けました。
田植えの後には、虫除けのためスス払いのワラぼうきで雪田をお祓いし、田の目印としてそのワラぼうきを逆さにして雪田の中心に立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒を供え、参加者が豊作と米価の上昇などを祈願しました。
2月1日には、豊凶を占うため稲刈りが行われ、その際「稲」が直立していれば実がはいらない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏を意味し、それぞれ凶作、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作、という一年のお告げが出るとされます。