2015年02月27日
コンテンツ番号6108
樹氷観光の可能性を探る
森吉山樹氷フォーラムが、2月27日(金)に阿仁ふるさと文化センターで行われ、約140人が参加して樹氷を活用した観光について考えました。
このフォーラムは「樹氷観光の可能性を考える」をテーマに、森吉山と同じく「樹氷」を有する観光地として全国的に有名な、青森県「八甲田山」、山形県「蔵王」の関係者を交えて樹氷の魅力を再認識し、樹氷観光の可能性を探ることを目的として秋田県が主催して行われました。
開会にあたり、北秋田地域振興局の熊谷淳局長と津谷市長があいさつを述べ、このうち津谷市長は「北秋田市にとって、冬場の最重要観光資源である森吉山の樹氷を発信していくため、平成25年度から県と協働で整備をしている。この地域には素晴らしい自然や歴史があるが、地元の我々が忘れかけている部分がある。こういった機会を通じながら地域の宝を探し出してほしい。今日は樹氷を観光資源とする蔵王と八甲田の話を聴きながら、皆さんと一緒に学びたい」などとあいさつを述べました。
このあと、(株)JTB国内旅行企画東北事業部担当部長の川村徹さんが、「樹氷の魅力を発信しよう」を演題に講演をしました。
講演のなかで川村さんは「観光に大切なのは情報で、その情報量はインターネットの普及などで年々増えてきている。情報を見ている人にとって99%が他人事、1%の自分事に人は興味を持つ。その場所に自分も行きたいと自分事に思わせるような情報を発信していかなければならない」と述べた上で、その情報の基となる企画については「希少性、不思議な世界を作りだすことが企画には必要。樹氷は、世界でも数箇所でしか観ることができないものであることが売り。蔵王、八甲田、森吉の周遊コースを作り、1か所を観に行ったら残り2か所も観たいと思わせるストーリーを作ってみては。また、樹氷は木に水がぶつかり凍ってできるものなので、人気の『アナと雪の女王』と関連させた企画も今は効果的だと思う」などと企画の一例を挙げて紹介し、最後に「何よりも地域の魅力に気づき、それに誇りを持つことが大事。観光業者だけでなく地域住民、行政が一体となって魅力を発信していける環境づくりを」と呼びかけました。
続いて、東北観光推進機構第一事業部長の長谷川博樹さんをコーディネーターに、講演の講師を務めた川村さん、タカミヤホテルグループ代表取締役の岡崎彌平治さん(山形県)、酸ヶ湯温泉株式会社社長付の間山良輔さん(青森県)、NPO法人森吉山理事長の片岡信幸さんの4人のパネリストによるパネルディスカッションが行われました。
この中で岡崎さんは「樹氷だけではなく、それにプラスした特産品も大事。樹氷を見た後に、温かい甘酒やおいしいお米で作ったごはんが食べられることは樹氷と同じくらいの魅力になる。また、樹氷をライトアップしている、樹氷の間をスキーで滑ることができる、スノーシューを使って登山しならがら樹氷を観賞できるなど、3つの山それぞれが特徴を持った樹氷地になれば周遊コースも魅力のあるものになる。蔵王、八甲田、森吉で日本三大樹氷に」となどと話し、間山さんは「海外からもスキー客が訪れるが、東北地方に降る新雪は世界一だと言っている。昨日、阿仁に宿泊して感じたのは、八甲田の水もおいしいが、阿仁の水も相当おいしい。普通にあるものだから気づかないことが多いが、それを見つけて世界一、日本一と言い続ける。そういった人の力が大事」などと、また、片岡さんは「森吉山の樹氷が一般の方の目に触れるようになったのはスキー場がオープンしてからなので歴史は浅い。蔵王・八甲田はすでに世界に知られる山。先ほどからお話のある三大樹氷の仲間入りができるよう努力していく。今日お集まりの皆さんにも、一人一人が宣伝マンとして広く森吉山の魅力を発信してくれるようお願いしたい」などと述べ、会場に集まった参加者はパネリストの発言を聴きながら、世界に誇る樹氷群の情報発信の方法やほかの観光資源との連携の大切さを改めて実感していました。