2006年06月16日
コンテンツ番号4522
〜合川高校の統廃合、集落営農組織の取り組みなどについて5氏が一般質問〜
平成18年北秋田市議会6月定例会の本会議が6月16日(金)、再開され、5人の議員が一般質問を行いました。この日は、児童生徒の安全対策、合川高校の統廃合、集落営農組織の取り組み、機構改革、雪害対策などについて質疑が行われました。
このうち、合川高校の統廃合についての質問に岸部市長は「高校教育の現状を直視すれば県立3校の統合に遅れをとってはいけないと判断するので、県で示す7月20日までには、市は何らかのアクションを起こさなければならない」と答弁。
また、集落営農組織の取り組みについての質問には、「国の新しいこの政策でどの位の農家が救済されるかについては、今は分からない。農家自身がきちんとした意識をもつことが重要 」と、農家の理解・積極性が大切であることに理解を求めました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
福岡由巳氏
(順位2-1)
1.児童生徒の安全対策について
頻発する子どもの殺害事件。加害者は子どももいたが、ほとんどが大人である。市長は、これらの問題をどのようにとらえているか。
北秋田市は、安心、安全対策をどのように講じていくのか。
【答弁(三澤教育長)】
大変痛ましい事件で、残念でならない。大人社会の失態が甚だしい。このような時で あればこそ、将来の「大人」となる子どもの育成につながる教育が大切であることが分 かってくる。
市で講じていく安全対策としては、◇「安全マップ」を作成して、通学路の注意箇所 等を把握して周知徹底する◇安全な等下校方策を策定して実施する◇地域ぐるみで「防犯教室」等を開催して安全確保の意識を高める等を各学校に周知徹底させていく。
2.小中学生の遠距離通学者に対する補助について
旧町毎の遠距離通学者に対する補助が統一されていないようである。その理由は何か。
遠距離通学者に対する補助金について説明が不十分であったのではないか。現在、保護者の理解は得られているのか。
【答弁(三澤教育長)】
合併前の旧4町の対応はそれぞれ異なっていた。17年度は合併前の制度を踏襲した 形となったが、今年度から要綱を定めてスタートしたものである。遠距離通学の補助対 象は、「小学校4km、中学校は6km以上」との基準の下に定めてあり、合川地区の児 童生徒へは「公的交通機関の無いところ」で同等距離の公的交通機関の定期券分の現金 支給としている。
該当する保護者への説明が不十分であったかも知れない。予算や地域事情を伴う制度 としているので、今後は、これらの事情を理解していただくように努めていきたいし、 保護者の皆さんの意見も聞いて制度中味の見直しも行ないたいと考えている。
3.合川地区小中学校の施設設備について
市教育委員会の緊急に修復を要する個所の判断基準は何か。
合川地区の小中学校において、緊急に修復すべき個所がいくつかあるが、修復されていない個所もある。その理由は何か。
【答弁(三澤教育長)】
判断の基準は、(イ)安全や生命に危険を及ぼさないか(ロ)授業や学校生活に支障が無いか(ハ)放置することで以後の工事費が増幅しないか、の3点。
合川地区の小中学校における(議員が指摘する)緊急を要する修復箇所については、その対応を終えたものやこれからのものもあるが、予算措置の有無の関係もあるため、前述の着手優先順位を定め対処していることにご理解願いたい。18年度予算は、すべての学校から要望等を聞き取り予算要求を行なっている。
4.山村留学センターの今後の運営について
今年も短期留学に広く関心があるとのこと。教育委員会はこの取り組みに消極的であるようにも見える。市長の決意はいかがか。
来年度にむけて、短期留学、長期留学の実施を含めたセンターの活用について計画立案は進んでいるのか。
【答弁(三澤教育長)】
18年度の長期留学の申込者は7人。今後は、申し込み数の減少が予想され、併せて、合川地区小学校の統合も進められる中にあって、事業についてどうあれば良いのかを推進母体である「山村留学推進協議会」と留学センターの活用も含め協議を始めている。今後の在り方をじっくりと検討して計画を策定したい。
5.合川高校の統廃合問題について
旧合川町議会は「合川高校存続」の決議をしている。新市議会では統廃合について議決はおろか議案さえ提出されていない。このような状況下、行政当局の合高統合の「要望」は拙速ではないのか。
広大な北秋田市、阿仁部に高校がなくて教育権に心配はないのか。
【答弁】
秋田県教育委員会に、県立高校3校統合計画に合川高校を加えて検討して欲しい旨の要望をしている。市としても、議会の同意や地域住民への説明もあることから、7月まで猶予をいただきたいと伝えてある。高校教育の現状を直視すれば県立3校の統合に遅れをとってはいけないと判断するので、県で示す7月20日までには、市は何らかのアクションを起こさなければならない。
地域は広大でも、問題は、減少を続ける生徒数である。教育の環境としても生徒数が少ないデメリットは大きいし、教える側のスタッフの問題も出てくると思う。小規模校がすべてだめとは言わないが、一定数の生徒で影響し合う学校環境が必要でないか。地理的に広いと言っても交通環境が整っているので通学に特に不便をきたさない。通学のための経費負担が増すとかの問題では無いと考える。
長崎克彦氏
(順位2-2)
1.集落営農組織のとりくみについて
旧4町の現状は。
遊休農地の解消策は。
【答弁】
市は、地元JA、県北秋田振興局と説明会をいままでに40数箇所で実施してきた。鷹巣地区は、集落営農組織の合意形成へ向けて活動中の組織体もある。合川・森吉・阿仁地区については、全集落を対象に「集落ぐるみ型営農組織」を勧めている。今後、合意形成が図られ、一定の要件を満たした営農組織が設立されるよう指導していきたい。なんと言っても、農家自身がきちんとした意識をもつことが重要なことと思っている。国の新しいこの政策でどの位の農家が救済されるかについては、今は分からない。
市内の農家ではいろいろな理由があって、遊休農地という扱いにしていることと思うが、この解消策としては、「農地保有合理化事業」による農地の借入、貸し付け等の推進を図ることが大事であると考える。
2.企業誘致(製造業、IT関連等)について
現状と見通しは。
【答弁】
取組みの状況については、(イ)「秋田県誘致企業推進協議会」と連携のうえに企業へのPR活動を展開(ロ)市職員を県東京事務所産業情報課に派遣し、首都圏の企業と双方の情報交換を実施。今後の見通しについては、経済の動きのひとつに海外シフトを続けていた企業の国内への「回帰現象」が目立ってきていることから、全国的な景気回復へと結びついているようだ。現段階で企業誘致へのネックが何かと問われれば、高速ネット通信網と道路整備のインフラ関連の整備状況に難があることと認識している。誘致を図るためにはどちらも不可欠なものであるため、実現へ向けた努力を続けていかなければならないと考えている。
3.市民病院(仮称)について
医師の確保など11項目の厚生連からの要望について、明確にすべき。
管理運営する厚生連では、経営に赤字が発生したときは市で負担すると協議しているが、指定管理者として他団体と違う理由を示せ。
救急医療はAランクという計画だが、常勤医師が5名必要、その見通しは、それにともなう財源は。
【答弁】
厚生連と交わした文書の内容は、皆さんからの求めがあれば開示する。必要とする部分はいつでも提示したいと思っている。病院に勤務する職員の身分等の扱いについては、まだ話し合いがついていない。
基本的な考え方と言っているが、指定管理者となる厚生連は、病院の経営には当然に責任を持っていただくことになる。ただ、最終的な管理責任は(建物を所有する)北秋田市となって然るべきことと思う。このことは、病院に限らず指定管理者制度に係る市の他の施設にも同じことである。
医師確保の状況を踏まえながら、運営可能となる計画を立てていきたい。
米澤一氏
(順位2-3)
1.市の財政について
市長は旧鷹巣町長当時、合併しないと財政事情は悪化するとの考えだった。しかし、旧鷹巣町の合併前の財政指標と比べると、合併後の指標はいずれも悪くなっているようだ。平成17年度決算による1)公債費比率は。2)起債制限比率は。3)その他の指数。
新病院を建設した場合、市の財政規模はどのくらいになるのか。その(投資した)時点で。
【答弁】
旧鷹巣町の町長時代も阿仁部全体のことを考えて立候補した。それは市長になってもかわらない。選挙の際は、合併すると10年間で1,200億あまりの収入(交付税+合併特例債等)が見込めると選挙の資料にもうたった。昨年度の実績から推計してもその通り。
(財政課長)公債費比率は14.2%。起債制限比率は10.3%。財政力指数は0.269。経常経費比率は96〜97%。一般会計の起債残高は266億円。なお、いずれも見込による推計値。
(財政課長)統合病院を建設した場合(平成22年度を想定)の財政指数は、公債費比率は16%台。起債制限比率は11%台。財政力指数は0.25〜0.26、経常経費比率は94〜95%。起債残高は262億円台と推計される。なお、以上の数値は、国の三位一体改革により変更するものと推測される。
2.税金の滞納について
市民税、固定資産税の滞納は。
国保税の滞納は。
以上の滞納理由をどのように把握しているか。
減免申請の調査の根拠法は
資格証明書、短期保険証の世帯数
【答弁】
(久留島総務部長)平成17年度出納閉鎖後の国保税の滞納者数は812世帯。市民税・固定資産税・国保税の滞納理由の把握については、電話や個別訪問により滞納原因を聞き取りしながら把握に努めている。また全ての把握は困難であり、回答しかねるのが現状。
(久留島総務部長・千葉保険課長)地方税法第707条による水利地益税等に係る徴税吏員の質問調査権が適用される。平成18年4月1日現在の資格証明書の発給は31件、短期保険証は442件。
3.機構改革について
合併時から見て、今なぜか。
支所の廃止は住民無視である。
【答弁】
議会でも在任特例を適用されたように、市の発足時には時間もなく完全な組織改革はできなかったのが現状。総合支所方式でスタートしたが、今後の職員減を考慮すると現在の機構を維持するのは難しい。今後の集中改革プランなどに合わせた組織づくりが必要。鷹巣支所の廃止(今議会の提出議案)についても、本庁舎内にあることから住民に大きな不便はないとの判断によるもの。なお、議会への提案議案の修正が多かったことは機構改革以前の問題であり、お詫びするとともに今後十分注意したい。
松橋隆氏
(順位2-4)
1.豪雪による雪害対策について
国道105号線沿い阿仁地区内のガードレール、フェンスの補修について。
倒壊家屋、倒壊工場等への対応について。
山林への雪害対策について。
【答弁】
多くは国道と県道に被害が出ているようだ。県(北秋田地域振興局建設部)に確認したところ、 復旧のための予算を6月議会に対し予算計上しているとのことで、もう少しお待ちいただきたい。市道についても調査の上、早急に対応したい。
今冬の豪雪による住家・非住家(空家含む)の全壊・半壊被害件数は26件。代執行を行使することにより費用を回収できなくなることも考えられるので行政が立ち入るのは難しい、相談や斡旋を取り次いだケースについては、誠意的に対応していただいてる。
阿仁・森吉・合川の各支所で計2,300本の被害報告を受けている。被害実態を明らかにし、復旧方法について検討したい。大館市では苗の一部助成を行っているとのことだが、その方法についても調べてみたい。
2.観光振興について
安の滝への道路整備について、具体策を伺う。
森吉山の通年観光に有名人の招致ができないか。
【答弁】
以前、寺田県知事が安の滝を訪れ、「自然は残した方がよい」と述べている。道路整備にしても県とも協議し、開発とのバランスを考慮しながら整備を進めたい。
有名人の活用とのことだが、どこまで効果的かは疑問。アウトドアのイベント「チェンソーカービング」の大会などは国内外から訪れた参加者が1週間ほども滞在すると聞いている。費用対効果を十分に考慮しながら、誘客活動に取り組みたい。
3.学童の安全生活の対応、対策は万全か
北秋田市としてどういった対応、対策があるか。
【答弁】
(三澤教育長)子どもの死因の第一位は不慮の事故。交通事故や水難は目配りなどで防げるが、不審者による事件となると防ぎようがない。市の小中学校には、父兄や地域の皆さん用に1校に50枚づつ「スクールガード」の腕章を配っている。また車用のステッカーも用意されている。ぜひ皆さんも活用し、不審者対策に参加していただければありがたい。
4.選挙制度について
ポスター掲示板を半分にできないか。(1ヶ所どれくらいの費用がかかったのか)
運動時間の短縮。夜8時を7時に改められないか。
届出から近い人、遠い人に大きな時間の差がある。改善策はないか。
提出書類が多い。もっと簡易化した事務作業ができないか。
公費負担はトータルでいくらか。
【答弁】
〜(成田選挙管理委員長)いずれも公職選挙法に定められた方式で行っているため市で独自の方式を取ることはできないのでご理解願いたい。
(照内総務課長)公営ポスターの設置費用については、一箇所当り53,200円。総額では19,886,160円。公費負担の額は、合計で27,054,850円。候補者一人当り629,182円。内訳の項目は、選挙運動用自動車の借り上げ台、燃料代、運転手の報酬、ハガキ代、ポスターの作成費。
花田隆一氏
(順位2-5)
4.品目横断的経営安定対策について
この対策により、どれくらいの農家がすくわれるのか。
制度の普及はどれくらい進んでいるのか。
対策の対象になることを優先するのでなく、地域の生産を守ることを最優先にした地域ぐるみの取り組みを進めるべきではないか。
すべての農家が制度を理解して判断できるように開始を延期すべきではないか。
食料主権を確立すべきではないか。
WTOの輸入拡大により、米価の暴落が予想される。
大多数の農家を排除することにより、集落に混乱と亀裂をもたらすのではないか。
対象となる「担い手」のやる気さえ奪うものとならないか。
担い手の所得目標はいくらか。
【答弁】
鷹巣地区では、個別経営体(認定農家等)で145戸、集落経営体で15集団、受託組織9集団を目標にしている。合川・森吉・阿仁地区では、全農家を対象にした営農組織化に向けて取り組んでいる。
行政と農業団体が一体となり「集落営農」の推進に向けて積極的に取り組んでいる。JAが主体だが、これまで多いところでは3回の説明会を行った。最初は集まりも悪く理解も進んでいなかったが、最近はだんだんよくなっているようだ。
地域農業の維持、振興を図る上で、将来にわたり継続できる安定した経営体の育成などを図ることが大切と認識している。
3年ごとに見直しが図られるようだが、国の動きに遅れることなく対応してまいりたい。
そう思っている。自給率の向上にもつながるだろう。
国際競争に打ち勝つためにはコストを下げる工夫が必要。まず「いいもの」を作ることが先決。そのことが経営安定化にもつながる。
この制度により亀裂が生ずるとは思わない。むしろ小規模農家にも門戸が広がるのでは。地域ごとの担い手をいかに育てていくか、といった視点に立つことが大切。
仮に計画が達成されないからといって直ちに返還しなければならないわけではない。目標や計画に向かう取り組みの姿勢が評価される。
市の基本的な構想では、一人当り400万円程度。旧鷹巣町では一世帯当り600〜800万だったので、それより目標値が高くなっている。