Vol.5 土偶が手元にやってくる!

今回は、デジタル技術によって伊勢堂岱遺跡の品々を手軽に見ることができるようになるコンテンツを、一足お先に体験したお話を。

まずは「みどころキューブ」から。

このキューブは、地中の中に出土品が埋まっていた位置を三次元空間の中で再現したというもので、出土した場所と発見された深さを視覚的に感じることができます。

よく見ると出土品の下には遺跡図があって、どのポイントから見つかっているのかも一目瞭然!

おお、これはすごい。

実際に遺跡の断面(時間の重なり)は見られないけれど、こうすると断面を見ているみたいに遺跡を立体的に見ることができました。

次に、私が一番楽しみにしていた「みどころビューア」で、土偶を見てみます。

高精細デジタルアーカイブ技術によって映し出される土偶は、もちろん拡大も可能だし、クルクルいろんな角度から舐め回すように見ることができる!「そんなにジロジロみないでよ」と土偶も言うんじゃないかと思うぐらい細部まで見ることができます。

あれ?こんなところに穴があったの?なんて発見したり、通常は見ることができない部分まで見ることができて、デジタルの醍醐味を堪能いたしました。

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最後は360°VR鑑賞システムで伊勢堂岱遺跡を体験。

バーチャルのいいところは、実際には入れない環状列石の中にも入れて思う存分遺跡を満喫できるという点。積まれた石だってじっくり眺めることができちゃうし、行きたい方向に操作して、気になるものがあれば画面上に配置されたスポット情報で内容をすかさず確認。画面の中を自由に歩き回って、より遺跡への理解が深まる仕掛けが満載でした。

天候も時間も気にせず遺跡を散策できたり、出土品を手の中でじっくりと眺める感覚になれたりと、「私は縄文人の目を手に入れた!」感が止まらないデジタル体験でした。

譽田亜紀子(こんだあきこ) プロフィール

文筆家。岐阜県生まれ。京都女子大学卒業。奈良県橿原市の観音寺本馬遺跡の土偶との出会いをきっかけに各地の博物館や遺跡を訪ね歩き、土偶そして縄文時代の研究を重ねている。現在は各種メディアを通して土偶や縄文時代の魅力を発信する活動を行う。近著に『かわいい古代』(2021年、光村推古書院)『新版 にっぽん全国土偶手帖』(2021年、世界文化社)他多数。