鷹巣阿仁地域合併財政シミュレーション報告書

 鷹巣阿仁地域任意合併協議会では、合併した場合や各町が合併しないで単独でこのまま推移した場合の4町同一条件のもとでの財政シミュレーションを行いました。その内容が第3回任意合併協議会で最終報告が行われまとまりましたので、ご紹介します。

 

 

鷹巣阿仁地域合併
財政シミュレーション報告書


(PDF形式402K)

 

基礎資料となった推計資料

合併した場合(PDF形式23K)

単独でいった場合
4町単純計

(PDF形式20K A3横)

鷹巣町単独
(PDF形式20K A3横)

合川町単独
(PDF形式19K A3横)

森吉町単独
(PDF形式19K A3横)

阿仁町単独
(PDF形式19K A3横)

 

 

 

 

鷹巣阿仁地域合併財政シミュレーションについて

1.調査の目的

財政シミュレーションは、長期的な視点から、合併した場合の財政的な効果と合併しない場合の今後の財政状況について、一定の条件のもとに推計したものであり、将来的な財政収支の傾向や各町が持つ財政的な特徴を示すことで、合併の是非についての財政面からの検討資料を提供することを目的として実施するものです。

 

 

2.調査の流れ

財政シミュレーションは、4町の過去の財政等のデータを基に、将来的な人口の動向、将来的な財政見通し等を勘案することで行います。また、合併した場合については、合併後の地域と類似する自治体の財政データに基づいて本地域における財政状況を予測するほか、合併特例法に基づく合併支援措置等を加味しながらシミュレーションを行います。

 

3.人口推計

 財政シミュレーションの前提となる人口については、コーホート要因法に基づいて推計しています。コーホート要因法とは、ある時点における、特定の5歳きざみの年齢集団(=コーホート)が5年後の観測時点でどれだけ増減したかに着目した推計方法で、その増減率(=コーホート残存率)を生残率(生存確率)と社会移動率(転出入による増減率)とに分解し、社会移動率などを変数として設定する人口推計方法です。

推計にあたっては、平成2年、平成7年、平成12年の国勢調査人口を基に、平成2〜12年の社会移動率を適用しています。

 推計結果によると、本圏域では今後も人口減少と少子高齢化が進むものと考えられ、平成37年には人口28,566人(32.1%減)、高齢化比率46.0%となると推測されます。

 

 

4.類似団体

 合併した場合の様々な財政的な数値算出にあたっては、合併後の本圏域と類似する自治体を基準として推計を行います。

 類似団体とは、人口規模及び産業構造から自治体を分類したもので、合併後の本圏域は都市T−2型に分類されます。しかし、合併後の人口減少と産業構造の変化(第3次産業の比率の上昇)により、平成22年には都市T−3型に、平成27年度には都市0−3型に分類が変わるものと推測されます。

 

 

図表3 類似団体の区分

 

 

産業構造

2次+3次95%以上

2次+3次85〜95未満

2次+3次85%未満

人口(人)

 

 

3次65%以上

3次65%未満

3次55%以上

3次55%未満

3次50%以上

3次50%未満

 

35,000

-5

-4

-3

-2

-1

-0

35,000

55,000

T-5

T-4

T-3

T-2

T-1

T-0

55,000

80,000

U-5

U-4

U-3

U-2

U-1

U-0

80,000

130,000

V-5

V-4

V-3

V-2

V-1

V-0

130,000

230,000

W-5

W-4

W-3

W-2

W-1

W-0

230,000

430,000

X-5

X-4

X-3

X-2

X-1

X-0

430,000

 

Y-5

Y-4

Y-3

Y-2

Y-1

Y-0

図表4 本圏域における類似団体区分の変化

 

総人口

産業構造(%)

類似団体

年次

(人)

1次産業

2次産業

3次産業

2次+3次

区分

平成12年

42,050

13.9

33.4

52.7

86.1

T-2

平成17年

39,693

11.5

34.8

53.7

88.5

T-2

平成22年

37,089

9.5

33.5

57.0

90.5

T-3

平成27年

34,244

7.8

31.6

60.6

92.2

-3

平成32年

31,381

6.4

29.2

64.4

93.6

-3

平成37年

28,566

5.3

26.2

68.5

94.7

-3

※人口は人口推計結果による。

※産業構造については、第1次産業及び第3次産業について、昭和50年から平成12年までの産業別人口比
率の推移が、将来にわたって続くものと仮定して算出した。第2次産業については、100%から第1次産
業と第3次産業の比率を引いて算出した。

図表5 類似団体区分による自治体の平均値

区分

人口
(人)

面積
(q2)

職員数
(人)

基準財政
需要額
(百万円)

基準財政
収入額
(百万円)

地方
交付税額
(百万円)

T-2

43,304

154.06

378

8,304

4,747

4,226

T-3

45,374

160.31

390

8,696

4,655

4,809

-3

26,897

228.05

289

6,326

2,739

4,430

 

5.合併効果

  合併することによるより直接的な財政面での効果を、歳入・歳出別に整理したものを以下に示します。

(1)歳入

@普通交付税額の算定の特例(合併算定替)

合併後の10年間は、合併しなかったものとした場合の普通交付税が保障されます。その後の5年間も一部が保障されます(段階的に縮減)。

A特別交付税

合併を機に行う新たなまちづくり事業、公共料金・公債費負担の格差是正等に要する経費について、特別交付税で措置されます。

4町が合併した場合:7.21億円(最大額。「以下同様」)

B合併直後の臨時的経費に対する財政措置

合併直後に必要となるシステムの統一やネットワークの整備などの臨時的経費について普通交付税により措置されます。

4町が合併した場合:4.65億円

C合併市町村補助金

合併市町村が市町村建設計画に基づいて行う地域内の交流・連携、一体性の強化のために必要な事業に対し、関係市町村の人口規模に応じた額が措置されます。

4町が合併した場合:3.90億円

D合併特例債

ア)建設事業

「市町村建設計画」に基づいて行うまちづくり事業について、合併後10年間に限り、地方債を財源(95%)とすることができ、その元利償還金の70%が普通交付税で措置されます。

4町が合併した場合:185.33億円

イ)基金造成

旧市町村単位の地域振興や住民の一体感醸成のための基金造成について、地方債を財源(95%)とすることができ、その元利償還金の70%が普通交付税で措置されます。

4町が合併した場合:24.19億円

E県補助金

合併する自治体数あたり2億円が交付されます。

4町が合併した場合:8億円

※普通交付税額の算定特例を除くA〜Eまでの合計額

4町が合併した場合:233.29億円

(2)歳出

  直接的な効果として、議員及び四役の報酬の削減があげられます。本圏域では現在議員74人、四役14人(森吉町・阿仁町は助役と収入役を兼務)がいますが、合併することにより議員数は48人減の26人、四役は10人減の4人に削減されます。

 そのため、4町で最も高い鷹巣町の報酬額を適用したとしても、年間2.68億円、10年間で26.8億円、20年間では53.6億円の人件費が節減されることになります。

図表6  議員及び四役の報酬削減額

   

人数

報酬額(一人当たり)

削減効果(累計)

 

区 分

現在

合併後

現在

合併後

合併後10年

合併後20年

1

議員

74人

26人

385.4万円

424.8万円

17.48億円

34.95億円

2

四役

14人

4人

980.8万円

1,105.2万円

9.31億円

18.62億円

 

合計

88人

30人

-

-

26.79億円

53.57億円

※合併後は議員の在任特例・定数特例を適用しないものとして算出

6.財政シミュレーション結果

(1)前提条件

 財政シミュレーションにあたっては以下の前提条件に基づいて算出しています。

@対象及び期間等

◇シミュレーション対象

 普通会計を対象としています。

  ◇算出期間

 平成16年度末に合併するものと仮定し、平成17年度から平成36年度までの20年間の推計をしています。合併しない場合についても同様に平成36年度までの期間の推計をしています。

◇外的要因

  推計の期間中の経済成長は見込まないものとしています。また、税や財政の制度については、現行制度を前提としています。

A費目ごとの前提条件

 各費目ごとの前提条件を以下のように設定します。なお、合併した場合と合併しない場合の前提条件が同じ時、計算上の誤差が生じる場合は合併しない場合の数値を合併した場合にも当てはめ、両者に差が出ないようにしています。

 また、個々の事業計画や事務事業の調整結果は反映させていません。

■歳入

区分

合併した場合

合併しない場合

地方税

 

○町民税

平成15年度決算見込みを基準として、15歳〜64歳人口の減少率にあわせて計算した。

○その他地方税

固定資産税、軽自動車税などのその他の税は平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

地方譲与税

利子割り交付金

地方消費税交付金

ゴルフ場利用税交付金

特別地方消費税交付金

自動車取得交付金

交通安全対策特別交付金

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

地方特例交付金

 

平成15年度決算見込みを基準として、15歳〜64歳人口の減少率にあわせて計算した。

ただし、合併しない場合の4町の合計値と誤差のでる場合は、4町の合計値を採用した。

同左

地方交付税 

 

 

 

うち通常分

○普通交付税
平成15年度決算見込みを基準として、平成19年度までは毎年5%減、平成26年までは人口の減少率で計算し、平成27年度から5年間は激減緩和措置、平成32年度からは一本算定額とした。平成17年度以降は圏域内の生活保護費の25%を見込んだ。一本算定後の普通交付税については、類似団体の人口当たりの基準財政需要額を本圏域の人口に適用し、4町の基準財政収入額を引くことで算出した。また、行政面積による補正をおこなった。なお、類似団体区分は人口減少と産業構造の変化に伴い平成27年度以降、都市0-3となると推測されるため、都市0-3の数値を使用した。

○特別交付税
平成15年度決算見込みを基準として、平成19年度までは毎年5%減、平成20年度から人口の減少率にあわせて計算した。

平成15年度決算見込みを基準として、平成19年度までは毎年5%減、平成20年度から人口の減少率にあわせて計算した。

 

うち合併加算分

○臨時的経費に関する財政措置
平成17年度以降5年間、毎年0.93億円を見込んだ。

○合併に伴う特別交付税
平成17年度以降3年間、1年目は3.61億円、2年目は2.16億円、3年目は1.44億円を見込んだ。

平成15年度決算見込みを基準として、平成19年度までは毎年5%減、平成20年度から人口の減少率にあわせて計算した。

 

うち合併特例債分

平成18年度から合併特例債の元利償還分の70%とした。

-

分担金及び負担金

手数料及び使用料

財産収入・諸収入

分担金及び負担金・使用料及び手数料・財産収入・諸収入については、平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

国庫支出金

 

 

 

うち通常分

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

 

うち合併加算分

平成17年度以降3年間、毎年1.3億を見込んだ。

-

 

うち扶助費分

平成17年度以降、圏域内の生活保護費の75%を見込んだ。

 

都道府県支出金 

 

 

 

うち通常分

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

 

うち合併加算分

平成17年度以降5年間、毎年1.6億円を見込んだ。

-

寄附金

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

繰入金 

歳入と歳出との差が5億円となるよう調整した(計上額分を基金残高からマイナス)。

歳入と歳出との差がなくなるよう調整した(計上額分を基金残高からマイナス)。

繰越金 

前年度の歳入と歳出の差がプラスの場合はその額を計上した。マイナスの場合はゼロとした。

同左

地方債 

 

 

 

うち通常分

合併特例債事業以外の普通建設事業及び災害復旧費の合計の41%(過去3年間の普通建設事業及び災害復旧費の起債比率から算出)を計上した。

同左

 

うち臨時財政対策債分

臨時財政対策債については普通交付税と同様の減少率で計算した。

同左

 

うち合併特例債分

○建設分
100%活用するものとし、平成17年度以降10年間、毎年17.61億円を見込んだ。

○基金積立分
100%活用するものとし、平成17年度以降10年間、毎年2.3億円を見込んだ。

-

■歳出

区分

合併した場合

合併しない場合

人件費

 

四役及び議員報酬は、鷹巣町の額とした。議員は特例を使わないものとした。職員給与は4町の平均とした。職員数は各町の退職予定者数に基づいて減少させ、その1/3を採用するものとし、合併時の類団区分である都市T-2の平均値(378.4人)を下回らないように設定した。

退職予定者の1/3を採用した。ただし、現在の職員数の15%減を限度とした。

物件費

 

平成15年度決算見込みを基準として、平成16年度は人口の減少率を適用した。平成17年度以降は合併効果を考慮して平成26年度までの10年間は5%減、平成27年度以降は固定した。

平成15年度決算見込みを基準として、人口の減少率にあわせて減額した。

維持補修費 

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

扶助費

 

平成15年度決算見込みを基準として固定した。また、合併後平成17年度以降は圏域内の生活保護費負担額を計上した。

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

補助費

 

平成15年度決算見込みを基準として、平成16年度までは固定とし、合併効果を考慮して平成17年度から平成26年度までは5%減とし、平成27年度以降は固定した。

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

普通建設事業 

 

 

 

うち通常分

合併後10年間は普通建設事業費と合併特例債による建設事業費の合計が現状とほぼ同水準の23億円となるように設定した。平成27年度以降は10億円と設定した。

平成16年度は平成15年度と同額。平成17年度以降は、H17〜36年度の建設費総額が合併した場合と同額となるように各年度に配分した。各町の配分比率は鷹巣町35%、森吉町25%、阿仁町15%,合川町25%とした。

 

うち合併特例債分

平成17年度から10年間、毎年18.5億円とした。

-

災害復旧費

平成15年度決算見込額を基準として固定した。

同左

公債費

 

 

 

うち通常分、臨時対策債分

平成14年度以前の起債分については、償還計画に基づいた。平成15年以降については地方債額を3年据置き、15年間、年率1.2%で償還するものとした。

同左

 

うち合併特例債分

3年据置の15年償還、年利 1.2%とした。

-

積立金

 

 

 

うち通常分

前年度の収支の黒字分の1/2を積み立てるものとした。なお、平成17年度以降については、当年度の収支が5億円以上の黒字となる場合は、5億円との差額分をさらに積み立てるものとした。なお、単年度収支が赤字となる場合は積立ないものとした。

前年度の収支の黒字分の1/2を積み立てるものとし、当年度の収支が黒字となる場合は、黒字分をさらに積み立てるものとした。なお、単年度収支が赤字となる場合は積立ないものとした。

 

うち合併特例債分

平成17年度から10年間、毎年2.4億円とした。

-

投資出資金・貸付金

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

繰出金

平成15年度決算見込みを基準として固定した。

同左

 

歳入-歳出差引残高

平成16年度は0円、平成17年度以降は5億円に固定した。

基金残高がプラスの場合は0円に固定。残高がマイナスの場合は、歳入から歳出を引いた額とした。

基金残高

平成14年度末残高を基準として、歳出の積立金から積み立てるものとした。なお、歳入と歳出の差が5億円に満たない場合は、収支差が5億円となるように繰入金に繰り入れた(平成16年度の場合は0円となるように設定)。

平成14年度末残高を基準として積立金から積み立てるものとした。なお、収支が赤字となる場合は、基金残高の範囲内で収支差がゼロとなるように繰入金に繰り入れた。また、残高がマイナスになった場合については、単年度収支の赤字分をマイナスした。

 

(2)合併しない場合

@4町合計

  合併しない場合の4町の合計では、人口の減少等に伴う地方税・地方特例交付金・地方交付税などの減少により歳入の大幅な減少が見込まれる反面、現状の行政サービス水準を維持するためには、大幅な歳出の削減が望めないことから、単年度の財政の不足分は年々拡大する方向となっています。そのため、平成36年度には単年度の赤字が歳入の約20%に相当する31億円となるほか、累積赤字は歳入の3倍強の460億円にまで増加すると見込まれます。

図表7  合併しない場合(4町計)

A鷹巣町

  鷹巣町については、下水道整備などの建設事業があるため、圏域内における建設事業費の配分比率を35%と高めに設定していること、また、平成30年度をピークとして公債費が増加することなどから、歳出の削減が少ない反面、歳入は平成15年度決算値見込値と比較すると25%近い大幅な減少となります。そのため、平成36年度には、単年度赤字は歳入額の約1/4に当る15億円、基金残高を除いた実質の累積赤字は歳入額の4倍近い約240億円に達する見込であり、厳しい財政状況になるものと推測されます。

図表8  合併しない場合(鷹巣町)

 

B森吉町

  森吉町では、人口減少等に伴う地方税・地方特例交付金・地方交付税等の歳入の減少分を人件費や物件費の削減額が下回るため、ほぼ毎年4〜6億円程度の単年度赤字が発生すると見込まれます。そのため、平成17年度には実質赤字となり、平成36年度における基金残高を除いた実質的な累積赤字は単年度の歳入額の3倍強に相当する106億円に達するものと推計されます。

図表9  合併しない場合(森吉町)

 

C阿仁町

  阿仁町は、4町で最も歳入の減少率が高く、平成15年度は約36億円あったものが、平成36年度には22.7億円と約37%の減少となっています。一方、歳出では、普通建設事業費を平成15年度値の約半分の水準とするなど大幅な削減をしていますが、歳出全体では約27%の削減にとどまるため、単年度で1.5〜3.3億円程度の赤字が見込まれています。また、累積の赤字も平成36年度には歳入額の2倍強に当る47.6億円に達するものと推測されます。

図表10  合併しない場合(阿仁町)

D合川町

  合川町は、阿仁町同様、普通建設事業費の配分比率が低く、平成17年度以降は平成15年度値の40%程度の水準と設定しているなど歳出の削減額が大きく、単年度収支は赤字となるものの、基金の取り崩しで平成21年度までは均衡を保てるものと推計されます。しかし、平成22年度以降については、当初2.5億円程度の単年度赤字が年々増加し、平成36年度には歳入の約20%に相当する6.2億円にまで膨らみます。また、累積の赤字額は歳入の2倍強に相当する68億円と見込まれます。

図表11  合併しない場合(合川町)

 

 

(3)合併した場合

  合併した場合は、特別職の報酬が年間2.6億円程度削減されるほか、歳入では合併特例法に基づく財政支援措置による総額233億円程度の支援(うち66.6億円は公債費として新市が負担)が見込まれることにより、平成28年(合併12年後)までは歳入が歳出を上回ります。そのため、基金残高は、平成16年度の15.6億円から年々増加し、平成28年度には132.4億円に達するものと推計されます。

しかし、合併後15年間の地方交付税額の特例が終了する平成31年以降は、毎年10億円以上の歳入不足となることから、合併後もこの前提条件以上に行財政改革を進めることが必要といえます。

また、合併後20年間の累積額を合併しない場合と比較すると、歳入では、新しいひとつの自治体として交付税額が算定されるため、地方交付税は93.7億円の減少となりますが、合併支援措置により歳入全体では433.4億円の増加となります。

一方、歳出では、町長・助役・収入役・教育長の四役の減少、議員数の減少、一般職員の減少などにより人件費が134.8億円削減されるほか、物件費118.4億円、補助費239.2億円の削減も見込まれ、市となることによる扶助費の負担増や合併特例債に伴う公債費の増加はあるものの、全体としては合併しない場合に比べ125.6億円の削減が期待されます。

このように、一定の前提条件のもとでの推計とはいえ、合併した場合としない場合では、20年間で歳入が433.4億円増加し、歳出が125.6億円減少することから、合計では559.0億円の効果がでることとなり、財政面だけについて見れば合併という選択肢は十分検討に値するものといえます。

図表12  合併した場合

 

 

図表13  合併した場合としない場合の合併後20年間の費目別差額

【歳入】

     

(単位:百万円)

 

平成17〜36年度の総額

費目

合併した場合
(A)

合併しない場合
(B)

差額
(A-B)

同単年度平均
(A-B)/20

地方税

53,207

53,207

0

-

地方譲与税等

14,980

14,980

0

-

地方特例交付金

1,491

1,491

0

-

地方交付税

150,381

144,905

5,476

274

  うち通常分

135,529

144,905

9,376

-

  うち合併加算分

1,186

0

1,186

-

  うち合併特例債分

13,666

0

13,666

-

分担金及び負担金等

24,660

24,660

0

-

国庫支出金

30,030

21,460

8,570

429

  うち通常分

21,460

21,460

0

-

  うち合併加算分

390

0

390

-

  うち扶助費分

8,180

0

8,180

-

都道府県支出金

33,520

32,720

800

40

  うち通常分

32,720

32,720

0

-

  うち合併加算分

800

0

800

-

寄附金

80

80

0

-

繰入金

8,381

1,706

6,675

334

繰越金

9,500

0

9,500

475

地方債

50,992

38,669

12,323

616

  うち通常分

7,530

15,117

7,587

-

  うち臨時財政対策債分

23,552

23,552

0

-

  うち合併特例債分

19,910

0

19,910

-

歳入合計

377,222

333,878

43,344

2,167

         

【歳出】

       

人件費

60,788

74,272

13,484

674

物件費

45,834

57,682

11,848

592

維持補修費

3,520

3,520

0

-

扶助費

36,080

25,180

10,900

545

補助費

50,975

74,900

23,925

1,196

普通建設事業

33,000

33,000

0

-

  うち通常分

14,470

33,000

18,530

-

  うち合併特例債分

18,530

0

18,530

-

災害復旧費

3,880

3,880

0

-

公債費

66,398

52,290

14,108

705

  うち通常分、臨時財政対策債分

46,875

52,290

5,415

-

  うち合併特例債分

19,523

0

19,523

-

積立金

11,687

0

11,687

584

  うち通常分

9,267

0

9,267

-

  うち合併特例債分

2,420

0

2,420

-

投資出資金等

8,900

8,900

0

-

繰出金

46,160

46,160

0

-

歳出合計

367,222

379,784

12,562

628

         

歳入歳出差引額

10,000

45,906

55,906

2,795

図表14 合併後20年間の人件費の削減効果(平成17〜36年度累積)

 

図表15 合併後20年間の人件費以外の行政経費の削減効果(平成17〜36年度累積)

 

図表16 合併後20年間の地方債及び公債費の比較(平成17〜36年度累積)

 

図表17 合併後20年間の地方交付税の比較(平成17〜36年度累積)

 

図表18 合併後20年間の国庫支出金及び県支出金の比較(平成17〜36年度累積)