2020年03月09日
コンテンツ番号9173
給与所得に係る個人住民税の特別徴収とは?
- 個人住民税の特別徴収とは、事業主(給与支払者)が所得税の源泉徴収と同じように、従業員(納税義務者)に代わり、毎月従業員に支払う給与から個人住民税を引き去り(給与天引きし)、納入していただく制度です。
- 事業主(給与支払者)は特別徴収義務者として、法人・個人を問わず、全ての従業員について、個人住民税を特別徴収していただく必要があります。(地方税法第321条の4、市税条例第44条)
特別徴収制度の仕組み
- 毎年1月31日までに、市町村へ従業員(アルバイト・パート、役員等を含む全員)の給与支払報告書を提出いただきます。
- 提出された給与支払報告書などにより、市町村において個人住民税額を計算し、毎年5月31日までに給与支払者(特別徴収義務者)へ特別徴収税額の決定・変更通知を送付します。
- 給与支払者(特別徴収義務者)から従業員(納税義務者)へ特別徴収税額の決定・変更通知を交付していただきます。
- 特別徴収税額の決定・変更通知に記載された税額を毎月の給与から差し引いて徴収いただきます。
- 徴収いただいた税額を翌月の10日までに各市町村に納入していただきます。
※所得税のように、給与支払者が税額を計算する必要はありません。
税額の変更通知
従業員(納税義務者)の確定申告や給与支払報告書の訂正、所得額や控除の内容の調査結果により、すでに通知した月々の特別徴収税額に変更が生じた場合は「特別徴収税額の決定・変更通知」が送付されますので、その通知にしたがって特別徴収する税額を変更してください。
退職・休職者の徴収方法
- 6月1日から12月31日までに退職等をした場合
特別徴収できなくなった残りの税額は、普通徴収に切り替えることとなり、従業員(納税義務者)から直接納付していただきます。
従業員(納税義務者)から特別徴収の方法で徴収されたい旨の申し出があった場合は、未徴収税額を給与や退職金等から、一括して特別徴収していただきます。 - 翌年1月から4月30日までに退職等をした場合
この期間は①とは異なり、法令(地方税法第321条の5第2項)により特別徴収できなくなった残りの税額が、5月31日までに支給される給与、退職金等が残りの税額を超える場合、従業員(納税義務者)の申し出がなくても5月31日までの間に支払いをする給与や退職金等から一括して特別徴収により納入していただく必要があります。
異動届などの提出
退職や休職または転勤等により従業員(納税義務者)に異動があった場合は、その事由が発生した日の翌月10日までに事業主(給与支払者)が、従業員(納税義務者)の方が課税されている市町村に「給与所得者異動届」を提出する必要があります。
特別徴収に該当しない給与所得者
- 給与の支払期間が、一月を超える期間(例:年俸一括払い等)によって定められている給与のみの支給を受けている方。
- 外国航路を航行する船舶の乗組員で、一月を超える期間以上乗船することとなるため、慣行として不定期にその給与の支払いを受けている方。
- 5月末までに退職している方、又は退職予定の方。ただし、一旦退職し、4月1日現在で再雇用される方は、その後5月末まで退職しない限り特別徴収の対象者となります。
- 確定申告等で事業専従者となっている方。ただし、事業所等の希望により特別徴収の方法により納入することもできます。
- 所得税の源泉徴収義務が行われていない方。常時二人以下の※家事使用人のみに対し給与等の支払いをする者は、その給与等について所得税を納付することを要しないものとされている(所得税法第184条)
※家事使用人とは家事一般に従事する労働者(お手伝い、子守など)のことを言い、それ以外の方については、人数に限らず特別徴収を行う必要があります。
納期の特例制度(年2回納入)
原則として、特別徴収は年間12回(6月から翌年5月)毎月納入していただくことになっていますが、給与の支払いを受ける従業員(納税義務者)が常時10人未満の事業主(給与支払者)に限り、従業員(納税義務者)の住んでいる市町村に申請書を提出し、承認を受けた場合には、特別徴収税額のうち6月分から11月分を12月10日まで、12月分から5月分を6月10日までの年2回に分けて納入できる「納期の特例」制度があります。(地方税法第321条の5の2、市税条例第45条の2)
併徴(併用徴収)について
併徴(併用徴収)について
給与所得以外の所得(4月1日現在65歳以上の方は「給与所得及び公的年金等に係る所得以外」)に係る個人住民税について、特別徴収とせずに、普通徴収とすることができます。つまり、給与所得に係る個人住民税分は給与から特別徴収され、給与以外の所得(営業・農業・譲渡等)に係る住民税分は普通徴収で納めることになります。このように複数の徴収方法により個人住民税を徴収することを通称『併徴』と呼んでいます。
併徴により個人住民税を納付するためには、確定申告及び住民税申告書提出の際に、給与所得以外の所得(4月1日現在65歳以上の方は「給与所得及び公的年金等に係る所得以外」)に係る個人住民税について、『自分で納付する(普通徴収)』旨の意思表示をすることが必要です。(地方税法第321条の3、市税条例第43条)
退職所得が支払われる場合の個人住民税の特別徴収について
退職所得に対する個人住民税については、退職手当の支払いが行われる際に支払者が税額を計算し、退職手当等の支払金額からその個人住民税を差し引いて納入することとされています。納入すべき市町村は、退職手当の支払いを受ける日(通常は退職日)の属する1月1日現在における退職者の住所が存在する市町村です。
特別徴収義務不履行の場合
事業主である特別徴収義務者が、納期限(給与支給月の翌月10日)までに通知された税額を納入しない場合には、特別徴収義務者に対して、納期限後20日以内に督促状が発付されます。(地方税法第329条)
督促状が届いても「督促状を発付した日から起算して、10日を経過した日」までに滞納税額が納入されない場合は、特別徴収義務者の財産に対し、調査・差押等が行われる可能性があります。(地方税法第331条)
なお、事業主が特別徴収税額を滞納したり、納め忘れたりすると、従業員が納税証明を取得できなくなる場合がありますので、注意が必要です。