2016年08月14日
コンテンツ番号5640
幻想的な炎で先祖を供養し、ふるさとのゆく夏を楽しむ
(2016年8月14日)
第45回合川まと火、第36回合川ふるさとまつりが8月14日(日)、合川橋付近と合川健康広場を会場に開催され、市民や帰省客が「まと火」や「通り踊り」、「スペシャルステージ」などでゆく夏の夜を楽しみました。
合川ふるさとまつりは、アマチュアバンドSolid Colors(ソリカラ)、アスパラダイスオーケストラの演奏で始まり、合川太鼓保存会の迫力ある呼太鼓、合川まと火踊りが行われ、合川小・合川中の児童生徒がリズム感のある新しい盆踊りを披露しました。メインとなる「合川通り踊り」は、婦人会・各自治会員・合川中生徒など約200人が「合川ふるさと音頭」、「合川まと火音頭」、「タント節」にあわせて優雅に踊り、観衆からは大きな拍手が送られました。
開会セレモニーでは、実行委員会を代表して合川まと火・合川ふるさとまつりの金森勝三実行委員長が「少子高齢化などの影響で、合川まと火・合川ふるさとまつりを開催するための実行委員の人数が不足している。これまで続いてきた、伝統行事をこの地域からなくすわけにいかない。これからもずっとまつりを続けていくために、一人でも多くの方に運営に参加してもらい協力をお願いしたい」などとあいさつ。
続いて、来賓を代表して津谷市長が「ふるさとまつり、まと火を続けている実行委員会の皆さん、まと火保存会の皆さん、ボランティアで頑張ってもらっている中学生の皆さんはじめ地元の皆さんに、心から感謝をいたします。7月27日に合川中学校の生徒12人が地元有志の方々と一緒に、東京都国立市のまと火に行ってもらった。国立市の方々に、合川まと火の素晴らしさを与えていたという報告も受けました。このご縁により、国立市と北秋田市で災害の時にはお互い助け合おうという協定を結ぶことができました。これも皆さんのおかげです。短い東北の夏ですが、合川ふるさとまつり、合川まと火を心ゆくまで楽しんでほしい」などと祝辞を述べました。
このあと、合川健康広場では合川太鼓保存会の皆さんによる「郷土芸能合川太鼓」が勇壮な演奏で観客を魅了したほか、北秋田市指定無形文化財の「福田獅子舞」が披露されました。また、スペシャルステージでは、ものまねタレントの「レディーエリカ」さんが、坂本冬美さんや松田聖子さんのモノマネを披露し、歌とトークで会場を盛り上げました。
一方、合川橋付近の阿仁川堤防が会場となった「合川まと火」は、午後7時30分から合川橋を挟み堤防約1.2キロメートルにわたる水平まと火、車まと火、「45回合川マトビ」の火文字が浮かび上がる仕掛けまと火が、合川中学校の男子生徒によって次々に灯されました。火の光は川面に写り幻想的な光景を一層引き立て、見物客を魅了しました。
また、会場内では「次世代に引き継いでいこう合川まと火・ふるさとまつり」とのチラシが実行委員会から配布され、少子化や田舎離れ、高齢化により、毎年あたりまえに行われてきたまつりの担い手が減少している。祖先の供養と郷土愛を培ってきた、ふるさとの伝統のまつりを続けていきたい。会議でアイデアを出したり、まつりの準備だけでもいいし、まつりの当日だけでもいいので様々なかたちで、一人でも多くの方に手伝ってほしいと呼びかけました。
合川太鼓
平成元年6月、旧合川町で県連主催の和太鼓講習会が行われたのをきっかけに、同年8月の生涯学習講座の中で合川太鼓として発足しました。大曲太鼓道場、現在、秋田県太鼓連盟専務理事、鈴木孝喜氏の指導により、合川囃子を修得し、その後、合川太鼓保存会として住民とのふれあい、地域の活性化をめざして活動しています。
合川通り踊り
合川中学校の女子生徒、婦人会など約200人で踊る通り踊りは、大勢にもかかわらず息のピッタリとあった踊りです。合川ふるさと音頭、合川まとび音頭、タント節にあわせ、まと火をイメージした先が赤い棒を鮮やかに操ります。
タント節
タント節の由来は旧合川町の旧大野村、現在の東地区の辺りで月明かりの夜、若者達が藁打ち作業で歌った「わら打ち唄」が現在は酒席で歌われるようになったものです。1から10までの数え唄式のような語りで、本来ならば「イロハ口説き」といって非常に長いものです。このタント節は合川が発祥の地として言われており、後に縁があり仙北地方に伝えられたものとされています。そして、平成5年度から7年度にかけて行われた合川町商工会「中小企業活性化事業」実施の際に、伝統・伝承文化の掘り起こしとして、この「タント節」を取り上げたことをきっかけに、ふるさとまつりのイベントの1つとして披露されます。
合川まと火
「まと火」は古く奈良時代から行われていた記録があり、灯明(とうみょう)は煩悩(ぼんのう)の闇を照らす仏の知恵にたとえられ、仏前にともすことは香をたいたり、花を献じたりするとともに功徳(くどく)のあるもので懺悔(ざんげ)、滅罪(めつざい)となるとされています。合川では、古くから下小阿仁地域を中心に、春彼岸の中日の伝統行事として、墓地に灯かりをともすとともに、山の尾根づたいや沢づたい、あるいは川原にたいまつを灯し先祖の霊を我が家に迎えてもてなし、供養とともに豊年満作、家内安全を祈ってきたと言われています。そして、このまと火を更に継承発展させ、人々がふるさとに帰省するお盆の14日夜に阿仁川堤防に 延々と灯かりをともし、先祖の供養と郷土愛を培う伝統行事として行っています。また、まと火に使うダンポは合川住民総参加のもとに合川地区内全世帯で1個ずつ作られ、中学生の協力を得て阿仁川堤防約1.2キロメートルに設置され点火されます。