2008年12月11日
コンテンツ番号2694
農業振興策、北秋田市民病院などについて5氏が質問
(2008.12.11)
平成20年北秋田市議会12月定例会の本会議が12月11日(木)、市議事堂で再開され、5人の議員が一般質問を行いました。
この日は、北秋田市の農業振興策、市民病院の医師確保、阿仁病院及び公立米内沢病院の今後の運営、定額給付金についての考え方などについて質疑が行われました。
このうち、市民病院の医師確保については、「現在の中央病院の医師数では足りない。厚生連では医師確保チームを立ち上げ、県でも対策協議会を設置して活動している。厳しい状況ではあるが大学にも直接要請しており、厚生連、県などと情報交換しながら最善を尽くしたい」と答弁。
また、米内沢病院については「50人にも及ぶ退職者を出したことについて、管理者としての責任を感じており、本当に申し訳ないと思っている」と述べ、医師の確保、特に外科部門について継続して大学等に働きかけ、赤字解消に向けた経営改善を図りたい、との意向を示しました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
武石隆憲 議員(会派:形成会)
(順位1−1)
1.北秋田市の農業振興施策について
消費者に安心をあたえる、食の生産にどう取り組むのか、現状と今後の取り組みは。
農協が中心となって、減農薬、無農薬栽培に取り組んでおり、トレーサビリティシステムを確立している。安全安心な食の確保のため関係機関と連携を徹底していく。
生産者の顔が見える、地産、地消に重点を置くべきと思うが、その考えと取り組みの現状は。
地元産米は、県の給食会、教育委員会、農協と協議しながら来年度から学校給食に提供していく。野菜についても農協が主体となって来年度から提供するように進めたい。生産者もいつでも供給できるシステム作りが必要。
農業体験学習の受け入れ体制整備で食育、食農教育を。
農業体験については、阿仁湯口内地区で首都圏からの修学旅行生を対象に行われている。食育の一環として農業体験学習も学校教育に組み込んで進めていきたい。
2.雇用環境の創出について
地域の生産物を活用した産業振興施策は。森吉牧場(フリーデン)との雇用創出の話し合いは。
産業振興については、特産品推奨認定事業によって市内で生産する物産を特産品として認定し付加価値を高め販路の拡大につながるよう取り組んでいる。今年は食料品、工芸品など81点が認定されている。また特産品活性化推進事業で新規特産品の開発などの助成を行っている。今後とも中小企業者や農林業者とも連携して地場産品を利用した産業振興に努めたい。
若者の雇用拡大をどう進めるのか 。▽新卒者の雇用環境は。
地元企業に新卒者の雇用要請を行っているのか。
新卒者雇用を行う地元企業に優遇策を
雇用不安は当地域にとっても深刻。国の雇用対策の活用を検討したい。 フリーデンでは、操業開始後3年間で30名雇用する計画だったが、すでに地元の23名を含む28名が雇用されている。加工工場の誘致も要請したが頭数が少ないとのこと。いずれ森吉牧場は順調に進んでいる。 鷹巣技術専門学校が改築され自動車整備科も設けられたので技術を習得して就職につなげてもらいたい。新卒者の雇用については高校職業指導連絡協議会など関係機関と連携して情報を提供していく。また直接企業を訪問したり誘致企業協議会で企業の意見を聞きながら雇用の確保も働きかけている。工業振興条例で新設または増設する工場に対して雇用奨励金を交付することにしており、新卒者の雇用促進を図っている。今後も雇用促進に一層力を注ぎたい。
3.宅地分譲販売計画について
売れ残りが問題となっている、上杉駅前団地は
宅地造成特別会計は19年度決算で資金不足が58.2%と突出しており県からも指導を受けている。宅地造成特別会計は土地開発基金を利用するなどして平成20年度をもって廃止したい。分譲価格を値下げし、区画を分割して、PRを強化しながら販売を促進していく。
黒澤芳彦 議員(新創会)
順位:1−2
1.北秋田市民病院について
(1)医師の確保は大丈夫か。(2)指定管理者である厚生連の収支計画書はいつ市に提出されるのか。
現在の中央病院の医師数では足りない。厚生連では医師確保チームを立ち上げ、県でも対策協議会を設置して活動している。厳しい状況ではあるが大学にも直接要請しており、厚生連、県などと情報交換しながら最善を尽くしたい。医師数や業務量などまだ確定していないため確かな計画ができないとのことであるができるだけ早く収支計画書の提出を求める。
(3)協定書はいつ締結する予定か。
厚生連が指定管理者に決定したことを受け、10月21日に管理の準備に関する協定書を締結している。今後、基本協定、単年度協定を順次締結していく。基本協定には納付額なども明記される。協定を締結次第議会にも提示する。
(4)医師確保に向け、市と厚生連が一緒になってプロジェクトチームを組む必要があるのではないか。
具体的な医師数については県に使用許可申請する9月頃をめどに決めていきたい。
2.前田基幹集落センターについて
(1)廃止により取り壊すとの事であるが、その後の計画について。補償と解体費の差額は。差額で四季美館に施設を増設するなど地元に還元を。
災害復旧工事で前田基幹集落センターが解体されることに伴い、公民館活動は四季美館を拠点にしていただくよう地元や講座関係者にも説明している。調理実習は米内沢地区の人たちといっしょに森吉コミュニティセンターの調理室を利用していただきたい。(教育長) 災害にともなう補償は1億1千7百万円ほどで解体や償還などに6千6百万円ほどかかるため5千万円ほど残る。四季美館への施設の増設は借地であることから難しい。補償差額を地元のために活用することについては今後検討したい。 (市長)
3.地場産業について
(1)不況のおり、誘致企業の誘致もままならないなか、地場産業の振興にもっと力を注ぐべきではな いか。(2)市長自ら地元企業を訪問し、現状を把握しながら激励する機会を設けるべきではないか。
商工業者には各種融資制度や補助制度を周知するとともに企業活動支援のためのインフラ整備を進めている。企業から要望があった光ファイバーも整備した。秋田県北部テクノプラザや県北ブロック誘致企業懇談会などを活用して企業間の情報交換の機会を提供していく。今年は大野台工業団地内の企業を訪問するとともに、誘致企業懇談会を開催して意見交換を行っている。バイオマスについは量産プラントに結び付くよう取り組んでいきたい。
長崎 克彦 議員(千光会)
順位:1−3
1.病院問題について
市民病院
管理運営する厚生連では開院時に医師確保が困難、よって100%稼動できない。また、減価償却費の 負担についても、まだ決まっていない。大きな赤字が発生すると説明。市長は一貫して医師など大丈夫、残された問題は中央病院の跡地利用だけと議会に説明。そこで市長と厚生連との考え方に大きな違いがある。これについてどう考えているか。また、赤字補填については。
イ、医師不足と診療科、ロ、米内沢病院の職員、ハ、医療機器、ニ、減価償却費とその利息について問う。
イ、診療科については、予定どおり21科、医師についても31名の確保に厚生連と協力体制を組みながら全力で取り組む。
ロ、多くの退職者が生じており、新病院へ職員の派遣をできる状況にはない。
ハ、医療機器を使う医師が決まりしだい機種を選定したい。機種も新しくなる情報もあり、動向を見極めながら進めたい。
ニ、減価償却費と支払利息の1/2は、指定管理者納付金として納付してもらう。納付の仕方については協議を進めている。
阿仁病院について
有床(19)診療所で継続診療する予定になっていたが、どう運営するか(規模を含めて)。
入院を再開するには、給食再開や医療スタッフの再配置などを考慮すると困難であるとの結論に達した。運営協議会においても、来年度の入院病床を再開せず、外来のみの診療所として運営することで了承を得ている。
米内沢病院について
赤字を理由に大幅な人員削減し、その原因を職員に転嫁している。問題は管理運営している管理者に責任がある。どう考えているのか。
イ、上小阿仁村の脱退については、合意書により正当と考えるが、これについては。
ロ、赤字解消策の考えは。
医師確保が進まない状況と慢性的な赤字経営改善のためとはいえ、50人にも及ぶ退職者を出したことについて、管理者としての責任を感じており、本当に申し訳ないと思っている。
イ、合意書は、旧4町で合意したものだが、合併特例債が使えなくなるなどの経緯があってしたもの。上小阿仁村長とも継続に向けて協議した。今後は継続の条件の整備等を進めていきたい。
ロ、医師の確保、特に外科部門について継続して大学等に働きかけ、赤字解消に向けた経営改善を図りたい。
2.財政について
合併すれば良くなるはずの財政は悪化して、起債残高が499億円になろうとしている。これについてどう認識し、どう償還するのか。
悪化は事実。しかし、無駄な使い方はしていない。地方債の残高は20年度末では500億円近くになると予想している。一般会計では減少傾向にあるが、特別会計では下水道事業の拡大や統合簡易水道事業が進められていることなどから発行額も増えております。発行については、過疎債や辺地債など、できるだけ交付税に算入される有利なものを選択しながら進めている。
4月から公表が義務づけられた健全化判断比率より、経常経費比率、実質公債費比率、など各種指数を適正化するための対策は。
財政の硬直化を示す「経常収支比率」は19年度決算で95.4%(18年度94.9%)となっている。「実質公債比率」は19年度決算で17.3%(18年度17.7%)となっている。比率が上昇している要因としては、特別会計の償還に対する繰出金の増加、交付税の減少による標準財政規模の減少などがあげられる。
3.農業問題について
集落営農組織(67)の法人化についての見通しと、指導対策は。
北秋田市の集落営農組織は、鷹巣地区17組織、合川地区17組織、森吉地区7組織、阿仁地区1組織の合計42組織でうち法人設立しているものが2組織ある。構成員は1631人でうち認定農業者が138人、組織体経営面積は2358.6ヘクタールとなっている。効率的かつ安定的な農業経営に向けた、営農組織の法人化への推進を、北秋田地域担い手育成総合支援協議会及び北秋田未来塾の活動を通じて強化していく。
生産資材の中で21年度から肥料関係が1.5倍から2倍ほどアップするが、これに対する支援策は。
各農協と生産資材費等の現状について協議し、国・県・農協が支援している事業等を考慮し、市が支援する内容を検討する。
良食味と精米機能を備えたカントリー(3000t)が今年稼動した。その稼動状況は。また市内公共施設(学校など含む)へ、おいしい「あきたこまち」を提供すべきと考えるが、どうか。
地産地消ということで、地元の「あきたこまち」を21年度から学校給食に米飯として利用できるよう協議を進める。
4.教育について
21年度から南小学校に編入する竜森小の徳育教育※について、編入後はどう生かされるのかその方針について伺う。(※学校林への植林、枝打ちなどの育林教育、自転車大会の全国連続出場、郷土芸能の保存のための活躍など大、中規模学校では出来ないような教育を実施している)
竜森小学校は南小学校との統合のため、130年の長い歴史の幕を下ろす。竜森小の特色である自転車競技、育林活動、郷土芸能については、統合後も継続して引き継いでいく。
吉田嘉隆 議員(形成会)
順位:1−4
1.農業問題について
市独自の施策を出すべきと思うが。
農家や集落営農組織が安定的で効率的な農業経営できるよう努めたい。今後は収入の増収を目的として1ほ場2収穫作目の試験栽培を行い、県、JA等と協議し振興作物に組み入れたい。なお、これまで8回の農政懇談会を開き、売れる米作りなどについて協議を重ねているが、国、県等への働きかけを考えると現在2つあるJA組織を1つに統合することでより効果的が取り組みができるのではと考えている。
市の中核となる産業とは何か。地域水田農業ビジョンの実現できたものは何か。
市の基幹産業は農業だと考えている。農業の発展により各産業への波及効果も生まれる。
国の「米政策改革大綱」が根底にある。農協・市・農家及び消費者代表などで作る水田農業推進協議会で作成した「地域水田農業ビジョン」において、最終目標年度を平成24年度とし、目標達成のため主要作物の生産、担い手育成、米の販売、産地づくり交付金の活用方法等の計画を毎年見直しながら取り組みを進めている。集積計画は鷹巣水田協議会では65%、阿仁部水田協議会では62%で当初の目標値の60%は達成している。平成24年度には70%を達成できるよう取り組みを進めたい。
2.市の公共施設について
指定管理されている場合には市は損失補償できないことになっている。
3.来春の市長選について
現職として意思表明の時期と思うが。
公約をすべて実現できたとは言えないが、まだ12月議会も終わっていない。年齢や体調のこともある。もう少し待ってほしい。
原田醇一 議員(公明正大会)
順位:1−5
1.定額給付金について
1)金融危機による市民生活の影響を市長はどう認識し、「定額給付金」について、どのように考えているか。
2)プロジェクトチームなどを立ち上げ準備に万全を尽くすべきと考える。高額所得者問題も含め、市長の認識と対応について伺う。
北秋田市民には必要な制度。すでに県の事業説明も受け総務課を中心として検討チームの編成作業を進めている。事務体制を整えスピーディに対処したい。所得制限は公平性の確保を図るため、また、窓口の混乱が懸念されることから設けない方針。
2.中小企業支援策について
1)金融危機による本市、中小零細企業への影響をどう認識されているか。また、10月末から始まっ た緊急保証制度について、どのような期待をもっているのか。
2)すでに自治体によっては、すべての業種を対象とした100%保証や一定期間無利子とする利子補給制度などに取り組んでいる。年末、年度末に向けて、困っている中小、零細企業に向けた本市の支援策について伺う。
10月31日にスタートした緊急経済対策に係る融資制度は保証限度額が別枠で設けられ、対象業種も618業種に広がり認定基準も緩和された。この制度を活用し、年末年始の資金需要に対応できるものと期待している。今後需要や相談に対応するため、商工会に中小企業金融特別相談室を設置しているので利用してほしい。
3.新型インフルエンザ対策について
1)国が発生時の対応策を策定済であるが、本市としても大流行に備えて、うがいや手洗いの励行、マスクの準備など、警戒を呼び掛ける必要があると考えるが市長の考えを伺う。
昨年10月に発足した鷹巣阿仁地域新型インフルエンザ対応連絡協議会において医療体制、役割分担等を協議している。事前対策としては、外出時のマスク着用や帰宅時のうがい、手洗い等について啓発、広報に努める。新型は現在のインフルエンザがもとになって発生する病気。インフルエンザの予防接種を受けてほしい。
4.市営住宅について
1)南鷹巣団地の浴槽、釜なしについて、入居時購入、退去時持ち帰りの現状を改善されないものか。
住宅の整備基準が平成10年に改正されており、それ以降に建設された住宅には設置されている。結果的に住宅使用料が高くなること、既入居者との公平性を図る見地から設置していないのが現状。今後の建替計画の中で考慮するが、入居者が退去する際に使っているものを置いていってもらうようにお願いするなどし不便の解消に努めたい。
2)南鷹巣団地、L7〜12号棟の防犯灯設置について (市営住宅のそばであり、市で設置するべきでは)
自治会・町内会からの設置要望があれば「北秋田市防犯該当設置補助金交付要綱」で対応できるが、再度現地確認を行い検討したい。