2007年06月13日
コンテンツ番号9052
平成19年6月定例議会一般質問(第1日目)
平成19年北秋田市議会6月定例会の本会議が13日、市議事堂で再開され、4人の議員が一般質問を行いました。この日は、団塊の世代を呼び入れる取組みについて、公共施設における分煙問題、秋田内陸線の存続、誘致企業、市民病院(仮称)建設などについて質疑が行われました。
このうち、「団塊の世代を全国から北秋田市に呼び込めないか」との提案に岸部市長は、「空港を利活用できる共同墓地建設など企画して情報を発信するなど、市が持つ資源(自然、伝統文化など)を最大限に生かした取組みを検討していきたい」などと、ターゲットを定めた戦略が必要であることを述べました。
また、誘致企業の進出後の対応について、「光ファイバの工場団地への設置を各種インフラ整備の中でも最重要として位置づけたいと考えている」と述べ、高速通信網の整備で今後の企業誘致にはずみをつけたい考えを示しました。
各議員の質問と、市長答弁の要旨は次のとおりです。
湊屋 啓二 議員
(順位1-1)
1.限界集落への移行状況と市民生活を護るための取組みについて
北秋田市における限界集落の状況について
・北秋田市の総集落数について
・準限界集落数及び限界集落数、今後の増加予想について
【答弁】
市内の集落数は219。このうち、「限界集落」は12集落(12.5%)、「準限界集落」が11 0(50.2%)となっている。現在のままで推移するという条件で推測する5年後、10年後の「限界集落」はそれぞれ、36集落および122集落になるだろう。少子高齢化の進展が突きつける大変な問題と捉えている。
限界集落が抱える問題・課題について
【答弁】
生活上の多方面(行政、医療、福祉、買い物等)での交通手段が無くなるおそれが出てきて、冠婚葬祭などの共同行事もできなくなる。併せて、農耕地・山林等の荒廃によって自然災害が増し、生産活動にも多大な影響を及ぼすこととなる。
限界集落問題への市当局としての対応策について ※京都府、綾部市等の先進市町村における取組みへの市としての意見・感想は
【答弁】
京都・綾部市では、集落の存続のための条例を制定し、生活インフラの整備や農産品・特産品の生産販売等への支援を行っている。このような先進事例を参考に、今後は対象集落の実態を把握しながらあるべき対策を考えていきたい。
2.団塊の世代を呼び入れる取組みについて
各都道府県及び市町村の団塊の世代を対象とした、移住・交流の取組みの状況について
【答弁】
全国各地で様々な取組みが行われている。地元出身者のみならず、「移住住民募集」「田舎暮らし体験ツアー」「セカンドライフ応援事業」等々、団塊世代をターゲットとした各種の事業が展開されている模様。
北秋田市の取組みについて 地域コミュニティーの活性化のための、団塊の世代を迎え入れる方策について
【答弁】
市としては、定住化促進事業の一環として秋田県が主催する事業に参画して、「農地取得特区(阿仁地方での10アール取得)」や「自然と伝統文化」等を紹介してきているが、例えば、空港を利活用できる共同墓地建設など企画して情報を発信するなど、市が持つ資源(自然、伝統文化など)を最大限に生かした取組みを検討していきたい。議員の提言のように、的を絞った対策が必要と考える。
3.公共施設における分煙への取組みについて
過去数ヵ年のたばこ税の交付状況と推移及び今後の予想について
【答弁】
平成15年度・16年度 2億2千7百万円、17年度 2億1千7百万円、18年度 2億1千9百万円となっていて、今後もほぼ横ばいで推移すると見ている。
公共施設における分煙施設の整備状況と嫌煙家からの反応について
【答弁】
公共施設の分煙については、法の規定により受動喫煙防止へ向けた喫煙場所を設置している(市役所本庁、分庁、各支所等)。喫煙室等の設備が充分とはいえない状況であって、分煙設備の充実が求められている状況と思う。
市当局の今後の対応について
【答弁】
議員の言うように、たばこ消費税と喫煙者対策は確かにジレンマを生ずることとなるが、喫煙者個々が健康を考えるうえでどう自覚するかとの問題にも及んでくると思う。完全分煙の施設・設備の整備については検討すべきと考える。
4.公共用地の取得と管理に関して
公共用地として使用する土地について、取得か借用かの選択基準について
【答弁】
取得か借用かの選択(判断)基準というものはない。
借用地の状況について
【答弁】
借用地の状況については、現在、有償借用地として80箇所(鷹巣地区9箇所、合川地区4箇所、森吉地区48箇所、阿仁地区19箇所)があり、約1千万円の支払いとなっている。
明確な基準がない場合において、借用地を取得することの財産管理上の意義について
【答弁】
借用にいたる理由は、地権者との交渉の結果で「借用」とする地権者の意向によるところも大きい。例えば、借用料金よりも購入の場合が安くなるといった事態も生ずるかもしれないが、いずれ、土地利用の観点からこの80箇所の整理・再点検を行う必要があると考えている。
松橋 隆 議員
(順位1-2)
1.内陸線存続について
年間4億7千万掛かる経費の内訳は
【答弁】
18年度の業務報告書の概数からすると、人件費 2億6千百万円、動力費 3千7百万円、修繕費 9千6百万円、業務費 5千百万円などを主なものとして合計で約4億7千万円となっている。
内陸線路下の法面に、菜の花の植付けを
【答弁】
議員のアイディアはすばらしい。景観を良くし、利用価値が高い菜種油の採取もできるが、難点として、タネが飛散して農地への被害を及ぼすこともあるやに聞いている。いずれ先に研究している仙北市と協力して十分に検討してみたい。
各種団体に呼びかけた乗車運動の促進
【答弁】
「秋田内陸縦貫鉄道の存続を考える会」と一緒になって各種団体(162団体)への協力依頼を行ってきた。また、鷹巣阿仁青年会議所の存続署名活動も活発に繰り広げられるなど、実にありがたいことと思う。これらが実際に「乗車」に結びついてくれることを切に願いたい。
各地帯で年間を通して使えるフリー切符の販売
【答弁】
土・日・祝日有効の「ホリデー切符」を参考に、会社への検討を促したい。会社とJRとで新たな企画商品「秋田内陸線回遊パス」の発売を予定して、格安料金での利用を期待しているところだ。
仙北市と北秋田市による交流イベントの開催
【答弁】
「グランドゴルフ大会」「イキイキ健康づくり列車の運行」「森吉山ダム見学ツアー」など、各種企画列車の運行に努めていきたい。
18,750本の枕木サポーターの実施
【答弁】
議員の提案をいまの「安全対策事業」に当てはめれば、対象となる枕木は2,200本。市民サイドの新しい支援事業として検討してみたい。先進地としては津軽鉄道(青森県)の取組み事例がある。
2.企業誘致の進捗状況は
企業誘致対策室設置後の流れは
【答弁】
企業誘致対策室は平成17年10月に設置して、1年8ヶ月が経過した。新しく企業の誘致をおこなうことと、誘致済企業のフォローに努めているが、秋田県の東京事務所派遣職員と連携しての活動がその中心となっている。企業の訪問、PR及び情報交換に精を出しているが、首都圏在住の「北秋田市企業立地協力推進委員(旧4町ふるさと会会員ら)」への情報提供依頼も行っている。
700社に対しての意向調査の結果は
【答弁】
582社(全体の83%)から回答していただいた。工場(施設等)の新設、移転の際には、「本社、関連会社等との近接性」「交通アクセス」「用地の価格、面積」等を重視すると回答している。
その後のアクションプランは
【答弁】
市としては、光ファイバの工場団地への設置を各種インフラ整備の中でも最重要として位置づけたいと考えている。幸い、北秋田地域振興局でも強く支援したいとしている。県知事が会長を務める「秋田県企業誘致推進協議会」との整合を取りながら、産業各層への働きかけを行っていかなければならないが、とりわけ、市の優位性(自然環境)を生かすことのできる企業体(医療機器、医薬品製造など)へのアタックに力をいれていきたい。
3.市の遊休土地について
遊休地はどれ程あるのか その評価額はどれ位になるのか その有効活用をどう考えているのか
【答弁】
主な未利用を含む「遊休市有地」は9箇所 34.91haで、全体の評価額は約10億2千8百万円である。これらの土地については、合併後に策定した「新市まちづくり計画」等との調整を図りながら、取得した当初の目的等を見直す検討が必要と考えている。この検討次第では、土地の売却等も視野に入れ、今後の適切な市の財産保有と活用策についての方針を定めたいと考えている。
米澤 一 議員
(順位1-3)
1.仮称市民病院の建設について
今回補正の8億3千8百万円の具体的内容が示されていない。設計図とか積算根拠が示されなければならないと思う
【答弁】
入札結果を待って予算を計上するわけにもいかないので、 仕様書を基に積算したもの。今回提案している病院事業会計補正予算案に資金計画、継続費に関する調書、貸借対照表、予算明細書を添付している。
議会に対して建設の是非がまだ問われていない
【答弁】
合併調印式の際の協定事項の中に既で病院を新市において事業計画を策定し建設を進めること、またその位置についても明記している。この協定を受けて合併後基本構想の策定、基本設計、用地取得と段階を踏んで本事業を進めており、その都度予算の計上についても議会に十分説明し、議決を得ている。
指定管理者を定めて計画されているが、病院運営者を決められるのか。その法的根拠は
【答弁】
「北秋田市公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例(条例第305号)」第2条及び同条例施行規則第2条第2項第3号の規定による。この中で、「公募することが適当でない場合は適当な団体を指名し申請を求めることができる」と明記されている。
病院開業は当初平成21年4月であった。平成21年10月と聞いたが事実か
【答弁】
その通り。当初の計画では4月であったが、病院建設の根幹に関わる部分の作成や現場スタッフとの協議に多くの時間を費やした結果開院時期を10月に延期することになった。できるだけ当初の計画通り進めたかったが、延期は苦渋の選択であったことをご理解願いたい。
6月29日に実施設計が完成するのに、本議会に予算が提案されている。整合性は
【答弁】
公営企業法第17条の2に基づき資金計画、予算明細書等の関係書類を予算書に添付している。
市立阿仁病院の入院患者の退院後はどうなっているか。退院させる法的根拠は
【答弁】
4月時点で19人が入院していた。このうち8人がもといた特別養護老人ホームに、自宅には2人が戻り、米内沢病院には3人が転院、6人が亡くなられた。入退院は医師の判断、指示によるもの。
看護師の市立阿仁病院から公立米内沢病院への派遣は、人件費を補正計上すべき
【答弁】
医師確保の目途が立てば現状に戻したいとの思いがあり、今回の予算計上は見送った。同じ理由から診療所への転換も現時点では考えていない。米内沢病院では人件費とそれに伴う増額予算を組んでおり、今後の医師確保等の動向を見極めながら対応したい。
2.市民プールの運営について
市民の健康増進という当初の目的に向いているかどうかの判断をされたい
【答弁】
市民プールの利用者は5月末現在で30,389人と当初見込みの3万人を越えた。内訳は乳幼児2,115人(7.0%)、小中高生10,772人(35.4%)、一般17,502人(57.6%)。なお、旧プールの平成17年度利用者は10,504人。健康増進を目的とした各種の健康教室とスイミングスクールなどでの利用者数は、プール5,207人、トレーニング599人、合計5,806人と、健康増進への市民の志向が反映されているものと考えている。
プールの建設費は4億9千5百万。3分の1が国庫補助となる文部省の事業。過疎債も活用し、できるだけ市の負担のないよう務めた。
利用料の改正も提案されているが、改正後の運営上の経理はどうなるか
【答弁】
条例改正案は、開場日、時間、使用料などの運用見直しと指定管理者制度導入を見据えたもの。そのため、これまで無料だった幼児と身障者手帳保有者も有料となった(身障者は2分の1負担)。今年10月1日から施行予定。さらに広く市民がプールに親しみ、各種教室などの一層の充実を図る必要があるという考えから、インストラクターと窓口・清掃業務及び各種教室運営を外部委託する。なお19年度は指定管理には移行しない。
補正予算には委託料が計上されているが、公募はどうなるのか
【答弁】
補正予算の内訳は市民プール運営委託料710万8千円と教室運営コンサルティング委託料102万4千円。既定予算の人件費6ヶ月相当分を委託料に組替えするものと、プール教室等の売上収入の一部を支払う内容。いずれも市の業務委託契約などに基づいた運用手続きで進めたい。
3.国民健康保険税の減免申請の対応について
市民が減免申請をした場合の対応はどうなっているのか
【答弁】
定められた申請条件が整っていれば当然受け付けされるべき。申請期限ぎりぎりに相談にこられたため、間に合わなかった例もあるようなので、広報等で再度制度の周知を図りたい。
松尾 秀一 議員
(順位1-4)
1.下水道事業について
今後の生活排水処理計画の進め方は。また、生活排水処理計画整備基本構想の枠組みの見直しは
【答弁】
今後も市民の快適な生活環境保護と河川などの水質保全を図るため、引き続き整備を継続する。
また生活排水処理整備基本構想については、旧町ごとに策定されたものを合併後もそのまま引き継いで現在に至っているが、合併後の社会情勢の変化を踏まえ、公共下水道事業、農業集落排水事業及び浄化槽整備事業による効率的なエリア設定を行ない、未普及地域の整備構想を策定したい。
公共下水、農業集落排水及び浄化槽事業に関する見直しは
【答弁】
受益者負担金については、旧町単位で大きな違いがある。これは着手時期がそれぞれ異なることなども理由の一つ。下水道共用開始から相当の年数も経過しており、見直しによって負担金額に差が生じる場合も想定されることから、どのような形がよいのか検討したい。
水洗便所改造資金助成をもっと手厚く
【答弁】
使用料の見直しの検討と併せ、融資金額の上限引き上げ等について検討したい。
工事終了後の埋め戻しを充分に
【答弁】
下水道工事は、施工が冬季に及ぶ場合があり、施行年度は通行に支障がないよう仮復旧で終了し、翌年度補助金の交付決定があった後に本復旧を実施している。市では、工事施工の翌年度TVカメラ調査を行った後に本復旧を行っており、今年度の舗装復旧は8月中旬頃を予定。それまでの間は仮復旧区間を定期的に点検補修し、歩行者等に支障のないよう務めたい。
2.観光について
熊牧場施設整備及び遊々ガーデンの活用について
【答弁】
熊牧場は平成2年のオープン以来17年が経過、施設が老朽化してきている。市として「クマサンクチュアリ」計画の構想を立案しているが、財源などの課題もあり実現に至っていないのが現状。また遊々ガーデンについては、養殖施設の水源地が遠距離にあることから渓流魚の養殖に対応できず、釣りなどを楽しむ当初の活用方法ができなくなっっている。そのため、グラウンドゴフルや、飼い主がリードをはずして犬と親しむことができる「ドッグラン」を企画したところ、特に連休期間中は好評で入り込み客数の増加にもつながった。両施設とも温泉を含め、マタギの里観光開発(株)に指定管理として委託していることから、同社とも協議を重ね、利活用の方向性を見出したい。
安の滝の駐車場増設と観光スポットへの案内板チェックについて
【答弁】
安の滝は知名度も高く、県外からの観光ツアー客も増えているが、滝までに至る道路が狭く、駐車場も狭小なのが現状。しかし、周辺一体は県立自然公園内にあることから、整備については課題も多く、進んでいない。今後、県自然保護課とも再度協議を重ねたい。
3.市の借地について
借地に相当数の公共施設が建設されている現状の打開方策は
【答弁】
現在有償の借用地は80ヵ所。現在の利用形態を再確認し、必要に応じて取得が必要なものは取得のための交渉を重ねたい。ただ相手もあること、また財源が必要なことから総合的に判断してまいりたい。